わたしを永遠に眠らせて | ☆*:.。. HOT Time.。.:*☆

☆*:.。. HOT Time.。.:*☆

本を読むのが大好きな2児の母です。
慌ただしく過ぎてく1日の中で、少しだけほっと息をつく時間に本を読んでいます。
ブログを通じて少しでも本と出会うきっかけになってくれたら嬉しいです。
拙い内容ですが、よろしくおねがいします。

​あらすじ 


義母からの苛めに遭う秋夜、継父からの虐待に怯える小学生の優真。二人の絶望が交わる時、惨劇の連鎖が始まる。


高台の公園からは家々がよく見える。そのくせ内情はだれにもわからない。その家でなにが起きているのか、だれが泣いているのか、苦しんでいるのか。「入れ物」を見下ろすだけでは知りようがない。だが、確実に「それ」は起きている。


​感想 ★★★★★ 


「彼に負わせた傷や苦しみを消し去れたらいいのに。それがわたしにできないのなら、どうか。

彼の頬に触れる手が柔らかく、この上なく優しくあるといい。彼の唇から発せられる言葉すべてが美しいものならいい。悲しい言葉や苦しみが生まれないといい。黒々としたまつ毛が涙に濡れないといい。瞳に映るものが「輝くもの」と「生」ばかりならいい。伸ばした両手で掴むものが彼の利になるものならいい。欲したものだといい。これから歩む長い人生が、芝生の道ならいい。裸足で歩いても足に傷が付かないほど易しいものならいい。どうかこの先、彼が少しも傷付きませんように。必ず、幸せになって。」


まるで足場の悪い崖上にでも立っているような表情だ。彼はいつでもやわらかな大地の上にいなければならないのに。