あらすじ
痒み止めの新薬を売り出していた瓶屋の主人が斬り殺された。平四郎は、将来を嘱望される同心の信之輔と調べに乗り出す。検分にやってきた変わり者:源右衞門はその斬り口が少し前に見つかった身元不明の亡骸と同じだと断言する。両者に通じる因縁とは。
感想 ★★★★
「我慢を生きてきたのではない。我慢なら跳ね返すことができる。諦めを生きてきたのだ。これは断ち切ることが難しい。法外に難しい。」
「願をかけるのはいいよ。あんたの勝手さ。でもじっくり考えなよ。願いがかなったとき、それをちゃんと受け止めるだけの覚悟ができてなきゃ、願なんかかけるもんじゃない。」
「どうしてもそうしなきゃならない時がきても、自分を頼ってくれてる者にしか、頼れないもんなんだ。自分より強い者には頼れないんだよ。強い男ほどそうさ。」
「本音なんて、みんな幻でございますよ。心にあるうちは、これこそ本物の自分の気持ちだと思うのです。でも、口に出すと、途端に怪しくなります。本音だと信じたい思いだけが残って、意固地になります。」