金接ぎ2
金接ぎ2回目の日。
1ヶ月はあっという間だったよ。・・・宿題の練りがあんまり上手にできてなくて、というか3回練り直して~といわれたが、2回しか練ってなかったので、結局先生にねってもらっちゃった。
今日は錆漆(さびうるし)をつくったよ。
錆漆はくっつけるのではなくて、つなぎ目の段差とかを補填するための、ちょっとコテコテした漆です。
砥の粉(とのこ)に水分を含ませてから生漆とこねこね。きな粉からピーナッツクリーム状になるまでこねこね練る。ちょっと料理みたいだね。
前回麦漆で接着した器を、十草を塩茹でして乾燥させた天然のヤスリですりすりこすって、そこにもう一度麦漆をぬる。それからその上にできたての錆漆をのせるんだけど、これがまたどこに乗せたらよいのか、さっぱり見えないのだよ。
まだまだ老眼ではないのだけど、目では見えない段差に乗せるもんだから、もうどこにどんだけ盛ったのか、わからんわからん。
こんなんでいいのかー?いいのかー?と心の中でさけびながら、見よう見まねで盛ってみたのが下の写真。
よくわからんね。けっきょくかなり広範囲に錆漆を盛って、今日の金接ぎは終わってしまったよ。
2ヶ月こんな進み具合でよいのかー?
この小さな盃を直すのに、いったいどのくらいの時間をついやすのかなぁ。
金接ぎの先生は3人いらっしゃるのだが、3人ともとても個性豊かでいらっしゃる。そしてほろりと深いことを言ってた。
昔の日本人はモノをつくるとき、ちゃんと直せるようにつくるんだって。直すことまで考えて、つくるんだって。これだけじゃなんのことやら伝わらないと思うけど、なんだか深い言葉だったの。
後先考えず、つくっちゃっていないだろうか。いらなくなったら捨てて、新しいものを買えばいいなんて考え方、きっと昔はなかったろうね。
原発の後先、ちゃんと考えて作ってたかな。便利だけを追求して、その後のことはそのとき考えればいいやって、思ってないかな。
私の恩師は、ムダなものをつくるんじゃないぞって、よく言ってる。私たちは地球を削って陶芸をしてるから、よく考えて考えて、考え抜かれたいいものだけを焼くんだぞって。そして戻せるものは戻せるうちにちゃんと土に戻すの。
隣りどおしの考え方だなって思った。
みんなの意識が少し変われば、モノであふれる世界が地球にやさしい世界に変わる気がするんだけどなぁ。
金接ぎのあと、さっちゃんとコーヒーを飲んだよ。
お兄さんがこんなにかわいい絵を描いてくれました。ちょっとのことで、楽しい気分になるね。この「ちょっと」が作りだせるような人になりたいな。