①東那須野駅(現那須塩原駅)
まずは栃木県北部、那須観光の玄関駅である那須塩原駅を紹介します。隣駅は特急も停車する東北の玄関口・黒磯、塩原温泉が近いかつては急行が停まった西那須野駅です。東那須野駅は普通しか停まらない小駅でした。よくある話ですが、新幹線駅建設が決まった際に黒磯・西那須野の両駅が揉め、妥協点として間にある東那須野に駅を設置することになりました。
これから取り上げる駅もそうですが、知名度の低い駅や優等列車が停まらない駅は新幹線開業と同時に駅名を変えるケースが多々あります。多くの場合は近くの主要駅の名を取り入れたり、広域地名を採用するようです。東那須野駅は当初新那須という仮称でしたが、開業間近になり「塩原」を入れる動きがあり最終的には「那須塩原」に落ち着いたそうです。
余談ですが、東北新幹線の開業当初の駅の所在地は「黒磯市」でしたが、平成の大合併で近隣の「塩原町」「西那須野町」と合併し「那須塩原市」となりました。この市名はやはり新幹線駅の影響力が大きそうです。
②磐城西郷駅(現新白河駅)
かつては奥州三関の一つ「白河の関」が置かれ、百名城の小峰城も著名な白河市ですが、実は新白河駅の所在地は白河市ではありません。実際にはホームの一部は白河市なのですが、鉄道駅の所在地は駅長室の所在地で決まるという規定に則って当駅は「西郷村」に所在しています。新幹線駅で唯一「村」に所在する駅としても知られています。
地図を見ると分かりますが、線形の都合で白河駅に新幹線駅を設置することは難しかったようです。白羽の矢が立った磐城西郷駅はやはり白河の知名度に押され、また西郷と白河の境にあったこともあり「新白河」に改名する運びとなったのでしょうか。
③陸前古川駅(現古川駅)
④矢沢駅(現新花巻駅)
北上~盛岡間にある新花巻駅は、1982年の東北新幹線盛岡開業の3年後の1985年に地元負担の請願駅として設置されました。同時に付近に存在した釜石線の「矢沢駅」を新幹線との交差地点に移転した上で名称を「新花巻」としました。実際は手続き上では矢沢駅を「廃止」、新花巻駅を「新設」という扱いになっていますが、事実上の移転&駅名改称となっています。
余談ですが、釜石線の新駅設備設置の際に、地形の関係で当時の国鉄の規程を超える勾配で建設することになったのですが、ホーム長に余裕を持たせることで特別に承認されたそうです。