突然だがオレはサンタを見たことがある。


親父サンタでなくガチサンタだ。


あれはオレがまだ幼き頃。


少しずつ『ホントはサンタなんて居ないんでないか』と現実を理解し始めた微妙な年頃だった。


クリスマスイヴの夜オレはなんだか寝付けなかったんだ。


親には『早く寝なきゃサンタさんこないよ?』と言われていたから渋々自室のベッドに横にはなっていたがどうしても寝れなかった。


ふと時計を見ると時刻は1時30分を指していた。


どうしたものかと思ったがとりあえずベッドから出てみたんだ。


秋田の真冬は厳しい。


絨毯は残酷にも雪のように冷たく布団で暖まっていた身体を瞬時に凍らせてしまった。


『あぁ…寒い。やっぱり布団に戻ろう』そう思った時外が妙に明るくなったんだ。


不思議に思い導かれるままにカーテンを開けたら…


部屋の外に広がる白銀の世界。


いつもと変わらない景色。


ただ一つ不可思議なことと言えばそこには『白銀の長髪に全身真っ赤な服。そして胸元まで伸びる髭を蓄えた少し小太りの眼鏡掛けたおっさんが佇んでいた』


はっと息を飲んだね。


見てはいけないものを見てしまった。


幼きオレは感じたよ。


そこから先の記憶は全くない。


果たしてあれは本当にサンタだったのか?


確かめる術はない。


だが信じたって良いじゃないか。


サンタは居る。


選ばれし子供にしか見えない伝説。


大人には見えないおっさん。


そこには夢があるよ。


うん。


そんな儚いオレの幼き頃の話