年収1200万円と同程度の借金を抱える多重債務者となってしまった私。
先日妻に借金の存在をカミングアウトし、一時は家を追い出されたが、今はどうにかこうにか家に置いて貰っている。
債務については、サンク総合法律事務所にて任意整理の手続きを取って貰い、クレジットカードの新規申し込みや借入申し込みが一切出来ない、いわゆる「ブラック登録」された状態となる代わりに、金利が一切掛からず、元本のみを5年間で完済する予定。
ボーナス返済分は家計から負担して貰うとして、月々の返済分12万円については、副業(アルバイト)で稼ぐ様に、と妻から厳命されている。
実家の片付けの手伝いをすることで4万円、早朝の荷物仕分けのバイトに週3日入ることで4万円、計8万円は稼げる見通しが付いたが、足らずまいの4万円がどうしても決まらない。
時間的制約の厳しいリアル副業では本業に影響を与えてしまうと考え、ネット副業を中心に検討するが、どうも上手く行かない。
夕方の副業(バイト)が見つからない、、、リアル副業かネット副業か、人生ていつも正念場
ネット副業についての考察 世の中に美味しい話は無い①
ネットで事務系・パワポ作成のお仕事を探す 世の中に美味しい話は無い②
そんな状況の中、12万円を弁護士の口座に振り込む期限である月末が近づいてくる。
「とても12万円は集まらない」とバンザイしてしまうのは簡単だが、そうすると妻に本気度を問われて、また別居という事態になりかねない。
朝の食卓で妻から、
「今月末までに12万円、大丈夫なんでしょうね?」
と聞かれる。
「なんとか捻出します」
と答えると、
「その捻出って表現怪しい。またどっかから借りたりしないでよね」
と指摘される。
ブラックだし、もう借りれないよ、と軽く受け流すが、確かに妻の指摘は言い当て妙だな、と思った。
1200万円という債務を背負っていた頃(今も背負っているが)、私は月12万円の元本返済、月12万円の利息返済、計24万円の返済に毎月追われていた。
そうすると、正常な感覚はまるで働かず、取り敢えず借りさせてくれるところからお金を借りる、つまり「捻出する」ことだけ考える様になる。
任意整理のスキームで借入返済を進めるのと同時に、この異常な感覚も矯正していかなければならないな、と思った。
ま、それはそれとして、取り敢えずは月末までに足らずまいの4万円(荷物仕分けは月半ばから入ったので、正確には6万円)の不足分をどうにかしないと行けない。
うーん、と頭を悩ませた結果、身の回りの物をヤフオクで現金化することにした。
部屋中を引っ掻き回した結果、出てきた目ぼしいものは以下の3点。
①ROLEXの時計
②アップルウォッチ(第1世代)
③アップルTV(第2世代)
その他にPCが無駄に3台(マック1台、ウィンドウズ2台)有り、カミングアウトしてからというもの、妻から冷たい視線を浴びていたが、古いPCで売っても二足三文にもならないだろうし、今後のアフィリエイト等の作業を考えて出品は控えた。
アップルウォッチはヤフオクで相場感をみると、1〜2万円。
アップルTVは数千円だった。
頼みのROLEXはスポーツタイプで定価は20万円位だが、箱も保証書も無い。
ヤフオクで業者っぽい人が出品していたが、2〜3万円程度で、入札者も居ない状況だった。
6万円までギリギリだな、とか思いつつ、ROLEXの相場観を妻に相談する。
流行り物に疎い私と違って、妻は結構詳しい。
「これってネットで2〜3万円で出てるんだけど、こんなもんかな?」
「保証書が無くて、保存状態も万全と言い難いから、それ位の金額じゃない?」
とのこと。
一応、買取専門店にヒアリングすることにした。
翌日会社の帰りに行ったのは、某繁華街に有る高級時計買取専門店。
ネットで検索してたどり着いたのは、1階に不動産屋、3階より上は風俗店が入っているペンシルビルの2階。
閉店間際の8時に滑り込むと、見るからに怪しいお兄ちゃんが話しかけてくる。
「何か御用でしょうか?」
「ROLEXのスポーツタイプを売りたいんですけど」
早速見てもらうことに。お兄ちゃんが白い手袋をぎょうぎょうしくはめ、ルーペで観察する。
「良い時計ですね。盤面も傷が少ないし、刻印もしっかり見えてます」
お世辞と判っていても嬉しい。怪しいビジュアルにそぐわず、言葉遣いは非常にしっかりしている。
「状態は確かに良いです。でもそれほど高くお買上げすることは出来ません。私だったら売らないですけどね。」
と意外に親身なアドバイス。
「もう使用しないので。だいたい幾らですか?」
と聞く私。
「3万円プラスアルファって感じですかね」
やっぱそれくらいなんだなあ、とか思いつつ、
「今日は出直します。大変参考になりました」
と店を出る。
ヤフオクで3万円以上で出品しておけば良いかな、と思うと少しは気が楽になる。
次の土曜日は出品作業。
妻から「オークションは写真が命よ」とアドバイスを貰った。
最初は本気にせず、スマホのカメラで写真に撮って出品しようと考えていた。しかし、
「この何でもかんでもいい加減なスタイルが今の状況(多重債務)を招いたのでは?」
と思い直し、妻に頭を下げて写真を撮ってくれと頼み込んでみた。
妻が愛用の一眼レフを駆使して、写真を取ってくれた。
すばらしい出来栄え。
銀色の時計って白の机に置くとこんなに映えるんだ、と思いました。
アップルウォッチもアップルTVも見違えたよう。
妻は写真の出来に今ひとつ納得していない感じだったが、スマホに比べるとクォリティは格段に上がったので、出品することにした。
とりあえず「大切に使っていたので、大切に使っていただける方に落札して欲しい」と本音を書き、出品する。
期限は1週間後の土曜日。
出品してから2〜3日間経っても、期待のROLEXはウォッチリストがほとんど伸びない。
逆に不安視していたアップルウォッチとアップルTVはウォッチリストの数がどんどん伸びる。
アップルブランド強し。
木曜日になってやっとアップルウォッチに1万円の入札が入り、一安心。
金曜の朝、妻から状況を聞かれ、
「アップルウォッチ以外は入札者が居ないよ、大丈夫かな?」と言うと、
「オークションは最終日の最後の数時間が勝負よ」とのこと。
じゃあ聞くなよ、と心の中で思う。
しかし、妻の言う通り、最終日の土曜日になって入札がガンガン入り始めた。
最後の数時間で競り上がることこそ無かったが、
アップルTV 3000円
アップルウォッチ 20500円
ROLEX 48000円
と計71500円という結果だった。
無事6万円の足らずまいを埋めることが出来、ほっと胸をなでおろすのと同時に、写真をしっかり撮ってくれた妻に感謝した。
多分、人のアドバイスを受け入れず、自分勝手にやって来た事がこんな事態を招いてしまったのだろう。
これからは、少しは妻の言うことを聞こうと思った。