今夜は『日の名残り』を観ました。



物語の主人公は、英国の名門屋敷に仕える執事スティーブンス。

仕事に誇りを持ち、執事としての職務を完璧に果たそうとする人物です。

感情を表に出さず、主人に忠実に仕え、自らの人生のすべてを仕事に捧げて生きています。

観ているうちに、私はあることを感じました。

彼は執事としては一流かもしれない。

しかし、その一方で人生の大切な部分を自ら手放してしまったのではないか、と。

父との時間。

愛する人との時間。

自分自身の本当の気持ち。

そうしたものを後回しにし続けた結果、気づいた時には取り戻せないほど遠くへ過ぎ去ってしまっていたように見えました。

この映画で最も印象に残ったのは、

「人生に悔いのない人はいない」

という言葉です。

それは、人生のほとんどを仕事に捧げてきた主人公だからこそ重みがありました。

誰もが何かを選び、何かを諦めながら生きています。

別の形ながら先日観た「国宝」と同じテーマなのかなとも思いました。

あの時、違う選択をしていたら。

もっと素直になっていたら。

もっと勇気があったなら。

そんな思いは、多かれ少なかれ誰の中にもあるのではないでしょうか。

けれど、その時の自分は、その時の自分なりに精いっぱい生きていたはずです。

だから悔いがない人生よりも、悔いを抱えながら生きていくことこそ人生なのかもしれません。

映画を観終わったあと、しばらくその言葉が頭から離れませんでした。

最近は畑に白菜を植えたり、大根の芽が出たことを喜んだり、こいぬちゃんのためにいちごの苗を植えたりしています。

そんな何気ない日常も、振り返れば人生の大切な時間なのだと思います。

『日の名残り』は派手な映画ではありません。

けれど静かに、深く、人の心に問いを投げかける作品でした。

久しぶりに、自分の人生について考えさせられる映画に出会ったように思います。

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