イメージ 1
シゲルは奇妙な夢を見た。

シゲルは、タクシーに飛び乗った。
「名古屋駅まで」
なぜだかわからないが、シゲルは慌てていた。
後部座席に浅く座り、前かがみで、右手にはサイフを強く握りしめていた。
まもなく久屋大通にさしかかろうとする頃、運転手が急ブレーキを踏んだ。
停まる寸前、シゲルはハッと目が覚めた。

何がなんだかわからなかったが、なぜだかサイフがなくなっていることが妙に悔しかった。


次の瞬間、シゲルはタクシーを運転していた。
「名古屋駅まで」
お客は、とても慌てていた。
後部座席に浅く座り、前かがみで、右手にはサイフを強く握りしめていた。
まもなく久屋大通にさしかかろうとする頃、突然、前方が渋滞していることに気づき、シゲルは急ブレーキを踏んだ。
その瞬間、シゲルは、タクシーのバックミラーからスッーとお客が消えていくのを目撃した。

取り残されたサイフ

おやっ?
シゲルは不思議に思ったが、一応交番に届けようと、サイフを助手席へと移した。

再び、シゲルは運転をはじめた。
車は快調に走っている。
しかし、前方の信号機が、突然「青」から「赤」へと変わった。
シゲルは、急ブレーキを踏んだ。
停まる寸前、シゲルはハッと目が覚めた。

何がなんだかわからなかったが、なぜだかサイフがなくなっていることが妙に悔しかった。


「あの夢の中に取り残されたサイフは、きっと今頃、夢の中の誰かに拾われて使われているんだろうなー。くやしいなぁー」
と、この夢の話を友達にしたら、

「シゲルさん、そんなサイフのことなんかより、運転していたタクシーのことを心配した方がいいっすよ。
 きっと今頃、大事故を起こして大変なことになっていますよ。
 運転手の乗っていない車が事故ったって」