むか~し、むか~し、あるところに偉い先生がおりました。
偉い先生は、シゲルとお昼にカフェテリアに行きました。
そこで、偉い先生はシゲルに言いました。

「シゲル、ミラクルフルーツって知ってるか?
 そのフルーツの実を食べると、酸っぱいものも甘く感じるんだ。
 たとえば、ミラクルフルーツの実を食べた後に、レモンをかじるだろ。
 レモンなのに、すっごく甘いんだ。
 酢を飲んでも、コーラの味がするらしいぞ。

 ミラクルフルーツの実には、ミラクリンっていう物質が含まれていてだな。
 その物質は、酸味を感じるのをブロックするのだ。
 だから、結果的に何でも甘味を感じるんだ。
 実際に、糖分が増えるわけじゃないから、ダイエットにも効果的だし、
 ミラクリンを作る遺伝子をいろいろな植物に入れてやれば、一儲けできるよ。」

お昼のランチタイムが終わって、先生と別れ、シゲルは研究室で後輩の女の子に言いました。

「ミラクルフルーツってのがあってな、、、、(略)」

シゲルはそんけいのまなざしを手に入れた。

お茶の時間になって、シゲルはその女の子と和気あいあいと世間話をしていた。
そこへ偉い先生が入ってきた。
すると、突然、女の子が偉い先生に話しはじめた。

「先生、ミラクルフルーツって知っています?
 ミラクルフルーツの実をかじると、、、」

「あー、その話か。俺がお昼にシゲルに話したばかりじゃな。」

シゲルは、すべてを失った。

ミラクリンは、知らないうちにシゲルの生き方までも甘くしていた。