遠離る その2 練られたる茶の濃きみどり先客と 後客の間茶碗重々し見馴(な)れたる女(ひと)は面射し華やぎて 茶をたつる夏の日のゆらめきに街に立つ裸木(はだかぎ)のさまの面白さ 友が描きし湯呑(ゆのみ)ずっしり薄衣脱ぎ掛けやうやう寛(くつろぎ)ぬ 菖蒲の園に逢ひし人々昨日立ちし 五羽の燕の如何にやと 梅雨吹きすさぶ夜半(よわ)い寝られず平成三年六月※転載禁止