羊歳の春





女の子幕上がりし如くキラキラ現れし 赤衣(あかえ)の淳子もろ手引かれつ

※淳子=三歳の孫の名前


鏡餅紅(くれない)の鹿の子(かのこ)の帯上げ垂らしつつ 廻る童ら正月の声





男の子駅弁を求め列島飛び交(か)へり 双六(すごろく)といへど面白きかな





ぐぅぐぅ片付けに追はるる吾に双六を 幾十誘ひし孫早い寝つ





温泉しんしんと爪先痛し血の廻(めぐ)り 急なり赤き有馬山の湯



平成三年正月





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