室津の海 その2ぬくき陽をそびらに受けつしるす人 足跡のなき浄き浜行く※そびら=背 しるす=記す つまり足跡を残す踏みしあと忽ち(たちまち)うしほににじみきて まさらとなりてはろばろ続く※うしほ=潮かの夏の吾(われ)にも似たり青き海苔(のり) 波にのりきて又帰りする沖の香にはぐくまれたるわれならば 睦月(むつき)の風の刺すもまたよし睦月=一月水漬く(みづく)岩故里(ふるさと)の海のさまとしも 思へば親し鈍く光るも※転載禁止