前回までのあっさりとしたあらすじ
田中はーん、弾がないのはあきまへーん
『夢』を後にした私は正直、
意気消沈していた![]()
昔からバイク乗りは虫に例えられる。
暖かくなってくると、地中深くに引きこもっていた
虫達のようにぞろぞろと表に出てくるからだ。
今は春。桜の花びらが、眼前を桃色に染め上げる。
しかし、私の心中は桃色どころか
どんよりとした、『ウンコ色』
だ。
しかも土中深くに埋もれたまま
日の目を見ない幼虫だ。
気を取り直して、『赤男爵』に向かう。
しかし、そこには『中型の新車』は
あまり置いておらず、大型車の中古車が多かった。
これも時代の流れか‥
しかし、『B-KING』の実車が
見れたのは良かった。
隼のネイキッド版。呆れるほどのでかいタンクと
跳ねた上がったマフラー。まさに王の風格。
バイクはこれぐらい自己主張があった方がいい。
鈴菌をこれでもか!と撒き散らかしている。
スズキは新型の隼を発表した際には、
是非『B-KING』も復活させて欲しい。
赤男爵でもいいバイクが見つからなかった
私のモチベーションは快晴の空とは対照的に
どんどん曇っていく
しかも3月だと言うのに今日は暑い![]()
私が着ている速乾と謳っているシャツは、
『いや、あなた、この汗の量は想定外ですわ』
と言うが如く、速乾の機能を早々に放棄して
ビシャビシャになりつつある
私の体力、精神力ともに限界に近づいていた![]()
普段の私ならここで、
『ヤンピッコーンピ!』
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と叫んで目標を放棄し、家のソファに寝転がり、 |
柿の種をむさぼり食らい現実逃避するのだが、
今日の私は、先のタイガーウッズのように
辛抱強かった!
SEX依存症ならぬ、『バイク買えない依存症』を
克服するのだ!
こなくそーっ!
次の店だ!と気持ちを奮い立たせて、
近くの昔からあるバイク屋の門を叩いた。
『すいません、バイク見せてもらっていいですか?』
『どうぞーご自由にー』
お?えらく気さくな感じだな?
ふと看板があったので見てみるとこう書いてある。
『当店はお客様にゆっくりとバイクを見て
もらうため、過度の接客は行いません。
何かあればスタッフにお声がけください』
ほほぉー。なるほど。これは好ましい対応だ。
少人数で経営しているバイク屋は、来店した
客が購入する気があるか、ひやかしの客か
の判断が付きずらく、その為に接客にかかる
無駄なリソースを省きたい。
対する客側は店員がベタ付きされると、
落ち着いてバイクの細部まで見づらく、
妙なプレッシャーにさらされ、
購買意欲が削がれる可能性もある。
もちろんこの対応の善し悪しには
個人差はあるが、私は好感が持てた。
展示されているバイクを見渡してみると、
1台のバイクに目が止まった。
『NINJA400』
正直、私の中での優先順位は低いバイクであった。
今まで、カワサキ車を所有した事も無く、
2ch上でのカワサキ車の揶揄した表現など
癖のあるバイクという認識があった。
しかし、眼前のこのバイクが妙に気になる。
舐めるように細部を見る。![]()
NINJA250と共通する部分が多数あるが、
決してチープ差は感じられない。
店員に声をかけて、またがらせてもらう。
足つきはとてもいい。足を下ろした時に
ステップが邪魔になる事もない。
ハンドルに手を下ろすと、前傾もきつく無く、
肩にも変な力は入らない。これならロングも
無理なくこなせるだろう。
クラッチを握ると軽い!
アシストスリッパークラッチの恩恵か?
ステップ上に足を置くと、少し膝の窮屈感は
感じられたが、これぐらいがちょうどいいかも。
ん?今までのバイクにまたがった時と圧倒的に
違う感じがするのはなぜだろうか?
頭に入ってくるインフォメーション量も段違いだ。
考えてみて、すぐに答えは出た。
そうだ!他のバイクにまたがった時には
感じなかったが、
このバイクにまたがった時に私は‥
『自分がこのバイクで走ってる姿を想像できた』のだ!
私は店員に
『このバイクの見積もりをください。
今から市役所に行って住民票を取ってきます』![]()
と、脊髄反射的に伝えていた。
まさに運命の出会いだ!![]()
そこから住民票、印鑑の用意、手付けの支払いを
あれよあれよと済ませ、気付いた時には
契約書が手元にあった![]()
Kパイセンではないが、まさに電光石火。
20年間の悩みが、僅か半日で解決した。
バイク屋を後にした私は、自宅に向かう道中で
徐々に冷静になり、初めて心臓の鼓動が
早くなるのを感じ始めた。![]()
『あ、俺バイク買っちゃったよ。
嫁になんて説明しよう‥』![]()
急に足取りが重くなり、通常であれば15分程度で
自宅に着く道のりが果てしなく遠くに感じられた。
![]()
『ま、決めてしまった事だから、しょうがない。
なんとかなるだろう。嫁もそこまで鬼ではない。』
シゲチーよ、未来から来た俺から教えてあげよう。
なんとかならないし、
鬼より怖い嫁がいるのである。
続く
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