まただ。
また後悔だ。
 
私が産休に入る、その直前までお仕事をご一緒させていただいてたMさん。彼が亡くなったと、さっき連絡が来た。
ある企業の、顧客向け会報誌作り。そこで編集長を務めていた人だ。私にとって彼はクライアントだけれど、雑誌経験が豊富ということもあり、なんだか気が合った。頼れる先輩というか、厳しい状況でも良いモノを作ろうとする、仲間という感じだった。
「大丈夫、今まで白いページで本を出したことはないから!」
が、口癖のちょっとハゲたオジサン。ニコニコしながら着々と締切を先延ばしにする人だった。
(でも最終的にはなんとかしてしまう)
 
当時から持病を治療するために通院をしていて、体調がすぐれないのは知っていた。そしてつい先日、会社に遊びに行ったとき「Mさん入院したそうです」と聞いていた。
 
私が産休に入ると伝えたとき、Mさんはめでたいことだと本当に喜んでくれた。
「私が昔働いていた編プロでは、社員の子どもを皆で子守りしていたよ」
「復帰してまた一緒にお仕事しましょう」
そんな言葉をかけてくれていた。
だから入院したと聞いたとき、元気に産まれた息子の写真をメールで送ってあげよう、そう思った。
きっと喜んでくれる、そう思ったから。
そう思ったけど、私はすぐに送らなかった。
 
そのうち送ろう、明日送ろう、いつか送ろう……
 
なんであのとき、すぐメールを送らなかったんだろう?
この感覚、知ってる。
後悔です、後悔。
胃の奥からのどの辺まで、ぐーっと締め付けられるような、苦しさ。
もう会えないし話せないしメールも届かない。
新しい命が誕生するっていう本当に軌跡みたいな幸せ、Mさんにも伝えて、一緒に喜んで欲しかった。一瞬でも幸せな気持ちを共有して欲しかった。私にはそれができたはずなのに、というか私にしかできないことなのに、結局しないまま、もうずっと叶わない。
 
この感覚、知ってる。
昔味わってる。
あのときあんなに苦しかったのに、どうしてまた同じ事を繰り返すんだろう。
私って、なんでこうなんだろう。
 
 
 
文字にしたら、ちょっと気持ちが落ち着きました。
今、私にできることは、目の前のことをコツコツ進める、それだけ。たぶん。
頑張ろう。
「あのときああすればよかった」なんて、思わないために、
頑張ろう。
一文字ひともじ、丁寧に、確実に、正確に。