もう日付が変わってしまいましたが、あの3月11日から2年経ちましたね。

あの日僕は、次の土日に本番を控えたオペラのゲネプロで、中野にいました。

16時に会場入りする為少し早めに着き、近くの喫茶店でのんびりしていた時。
最初はお店の食器や壁の飾りがカタカタ鳴り「あれ?地震かな?」くらいに感じていましたが、あっという間に立っていられない程の揺れに変わりました。
喫茶店の入っていた雑居ビルは振り回され、思わず外に飛び出したら地面が波打ち、街灯が斜めになっていました。
震源地から遠く離れた東京でもあんなに怖い思いをしたのですから、被災地の方々の恐怖は計り知れないものだったでしょう。


あれから二年。
昨日の2時46分は、新国立劇場に向かうバスの中で黙祷を捧げました。

そしてアイーダの初日。
再演出家が粟国淳さんが開演前に我々合唱団に一言。

「この日は日本にとっても世界にとっても特別な意味を持っている。
そんな日にオペラだなんて、という人もいるかも知れない。
でも、こんな日に、じゃない。こんな日だからこそ演るんだ。
オペラの舞台は物じゃない。セットがあれば出来るものじゃない。
この日この場所にいて、この舞台に懸ける人間の力が舞台を創り上げるんだ。
そういった力が感動を生み、活力を生むんだ。
我々がここで魅せられる最高の力を表現しましょう。」(一言一句全ては合ってないかもですが…。)

本当にその通りだと思い、奮い立ちました。

2年前の4月、ミラーズを結成する前の我々がチャリティーコンサートを行った時のあの気持ちと重なりました。

ただいい曲を聞いてもらうだけでなく、心の中に響く様な、また音楽を通じて力を与えられる様な演奏をしていきたいと、改めて強く感じました。

今回のアイーダ。
まさにその力を与えられる舞台だと思っています。

ソリスト陣も、オーケストラも、助演の役者さん達も、バレエダンサーも、一緒の舞台にいながら感動するくらい力が溢れています。

この舞台の一員として関われていることを誇りに思いつつ、全7公演を最高のものにしていきたいです。


被災された方々の心が少しでも癒され、また復興の活力へと繋がっていきますようお祈り申し上げます。