爺ヶ岳
燕岳に登ってからというもの(2005年6月24日以来)、「いつかは槍ヶ岳の頂上に立ってみたい」と、思い続けてきました。そのために必要な山の経験も、少しずつですが積んできました。
「経験不足」とは、何を以て判断するのでしょうか?
槍ヶ岳に登るには、まだ早いのか? それとも準備万端なのか? 結局のところ、自らがGoサインを出さなければ、いつまで経っても判らずじまいだと思います。そんな心のもやもやを晴らすためにも、槍ヶ岳の夢は、今年(2008年)叶えることに決めました。そうなると、その前にやっておきたいことがあります。小屋泊と縦走の体験です。
昨年、唐松岳の頂上(2007年7月1日)でお会いした方が、爺ヶ岳を推奨してくださいました。地図を見ると、爺ヶ岳の奥には、百名山の鹿島槍ヶ岳が控えています。鹿島槍は迫力満点の双耳峰です。
爺ヶ岳から鹿島槍まで足を延ばすと、日帰りは厳しくなります。逆に言えば、鹿島槍を目標に据えることで、爺ヶ岳も小屋泊も縦走も、一度に体験できることになります。
爺ヶ岳(じいがたけ/2,669m)
■2008年7月15日(火)晴れ
■1泊2日(爺ヶ岳⇔鹿島槍ヶ岳縦走)/単独
■行程/扇沢⇒種池山荘⇒南峰⇒中央峰⇒(北峰)⇒冷池山荘
■標高差/1,300m
■時間/05時10分~12時45分(7時間35分)
(爺ヶ岳頂上/中央峰)
(ブロッケン現象/冷池山荘付近で)
爺ヶ岳の頂上に立ったあとは、いよいよ鹿島槍ヶ岳への縦走になります。先を見ると、これから歩くべき道が筋になっています。後ろを振り返ると、歩いてきた道が筋になっています。何故か感激します。
冷池山荘に到着したのは、12時45分頃でした。鹿島槍頂上までのピストンには、4時間30分前後を要します。今からでは時間が足りません。かと言って、まったりしてしまうには時間が早すぎます。小屋に荷物を置いて、小屋から先の道を下見しておくことにしました。この予習行動が幸運を招いたのでした。
散策の道。太陽は眩しいくらいなのに、濛々とした霧が立ちこめてきました。ふと、横を見たとき、霧の中に動く影を見つけました。「何だ?あれ?」と思って立ち止まると、動いていたはずの影も止まります。不思議に思って、体を曲げてみたり、両手を広げてみたりしました。私の動きに合わせて影も動いています。「あれは、俺の影なんだ?」、「まさか? これって? ブロッケン現象?」、もう、ドキドキしてしまいました。
■追記/冷池山荘の泊まり客は、私と、ご夫婦の3人だけでした。小屋の方が気を遣ってくれたようで、私ひとりに一部屋、ご夫婦に別の一部屋を割り当ててくれました。貸切の部屋は、体を拭くのも、着替えるのも、何かをするには快適でしたが、眠るには少し肌寒かったです。