オイラがまだガキだった頃

日本の映画は黄金期で、憧れの映画スターたちのおかげで、食事が足りないときでもオナカいっぱいの気分になれた
そんな煌めくスターたちの中にあって、スターらしからぬ異才を放っていたのが"殺し屋"宍戸錠だった
宍戸錠の洗練された殺し屋ぶりは、ときには主役のスターより度をこえて喝采をあび、彼は二番手の悪役でも主役を勝ち取れる~を実証した人なのだ

オイラが夢中になった1958~62年当時の日活映画は
石原裕次郎を筆頭に、小林旭、赤木圭一郎らのアクション映画が主流で、毎週のように映画館で、殴りあいや拳銃の音を楽しんでたっけ
裕次郎映画はやがて文芸作品になっていったが、アキラ映画は、より無国籍アクション化した
アキラとエースのジョーとの一騎討ちは映画を盛り上げ、しかし最後はタッグを組んで大きな悪を倒す"テッパン"に興奮したした
しかし、日本映画界のウルサ方は、この日活荒唐無稽B級アクション映画を、映画評価の枠に入れずで映画賞の対象外とした
たとえB級映画であっても、日活が創り出す映像は、他の映画会社の映画より綺麗で、とにかく垢抜けてたンだ
だから多くのガキどもは日活スターたちのファッションを真似したのさ
オイラは特に宍戸錠のファッションに憧れ~あの独特のセリフまわしまでモノマネしたもんさ
(笑)

昨年、赤木圭一郎のDVDボックスを買った
赤木の『拳銃無頼帖』シリーズは4本あるンだが、シリーズ最終作『明日なき男』だけ持ってなかったのでコンプリートボックスを買ったンだ
赤木と錠の最後の対決を久しぶりにDVDで見れて~いやあテンション上がったな
宍戸錠のつくり出したエースのジョーは、殺し屋なのにオシャレでコミカルで格好いいったら…
今だオイラが毎年、何回か見てしまう日本映画は、赤木圭一郎と宍戸錠が共演した日活アクション映画なのだ

エースのジョーへ
心よりの哀悼するが~
エースのジョーは今だオイラの映画の中にいる

泉谷しげる