令和、それは不遇の時代。



この不遇を生み出した張本人こそ、新社長フカザワ・ユウジである。

彼は会社の利益を最優先した経営方針を立て、経営面から見て無駄な物は全て削ぎ落とす血も涙もない、人の心を捨てた人間だ。



この社長の元に生きる事を強いられた老兵達は、数名の犠牲を生みながらも、辛うじて生き長らえていた。


タ・バタ

 「…まだ僕の釜たちに廃車の話は出てないけど、タカサキのロクマルが死んだことを想えば、もう僕らを永くはないよね… 何かできることないのか?」



オク

「そんなこと言ってもよ、相手は東大卒の経営者だぞ。僕らに出来ることなんて…」



彼らはカマ達の遠くない未来、それも暗い未来を危惧していた。



バタ

「うーん。まずは本社に乗り込まないことには始まらないよね。住所は…渋谷区代々木2-2-2…か」




オク

「代々木…か。ということはPFたちは東高島に向かう時目にしてるはず…」



そう、PFには東高島に向かう単機回送仕業が存在する。山手貨物線を経由するゆえ、奇遇にも本社前を通過していたのだ。



1115

「敵陣の目の前をいつも通ってたのか…恐ろしい話だ。」



1115、彼はタバタPFの中では最も若い。しかし、フカザワユウジ統治下では度々休車にされるなど、酷い扱いを受けていた…




オク

「…聞いていたのか。全然良い話題じゃないだろうに。」



1115

「そんなんわかってる。…現実逃避が通用する時代は終わったんだ。僕らに変わる何かが製造されているのも理解してる。」



カマ達の中でも新型車のことは噂になっていたようだ。



バタ

「……あんた…手を貸してくれないか?」




オク

「ちょバタ…言ってもこいつらまだ仕業がたくさんあるんだぞ…おれらのせいで壊れちゃったらどう責任を取ればいいんだ。」










1115

「……いいよ。」


「ちょうど休車札を刺されて暇していたんだ。付き合うよ。その代わり…」



バタ&オク

「……その代わり…?」