時は令和。


世の中は腐敗していた。



かつて全国を駆け抜けた華奢な黒い貨車たちは重機の餌となり、東海道を彩った電機たちは屍となり散った。







すべての元凶は、とある会社にある。


会社の前社長の名はトミタ。彼は斬新な戦略を次々と打ち出し、会社の経営回復へと導いた立役者である。


しかしある日、トミタは突然姿を消した。


…遂に社長室に戻ってくることはなかった。





そして、新たな社長が誕生した。




???「国鉄が作ったモノに価値はない。潰しなさい。これは社長命令だ。」


無愛想な声で、新たな社長室のヌシはこう言った。




秘書「…かしこまりました。」


秘書は社長命令を実行すべく社長室を出ようする。




???「それと、もう一つ」


秘書を引き留めて、社長はこう告げた。



「トミタ君が作ったモノの中にも、不要なものがいくつかある。……あとはわかるな?」






「……潰す…という事ですか。かしこまりました。」





引き留められた秘書は、追加された社長からの命令も戸惑うことなく受け入れた。


世の中で最も従順な生き物は大企業の秘書なのかもしれない。







程なくして、新社長の計画は報道機関を通じて公とやった。

報道は人々に大きな衝撃を与えた。




…その日人類は思い出した


ヤツらに支配されていた恐怖を…


鳥籠の中に囚われていた屈辱を……