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去年の今頃 オペラシティで美輪明宏さんの黒蜥蜴を観ました。
映画の黒蜥蜴を観て憧れに憧れた舞台だったので感慨ひとしおでしたが、今回は新派での上演という事でどんな舞台になるのだろうと楽しみでした。
主演の河合雪之丞さんは元々は市川猿之助さんのところで女形をやっていた方です。新:猿之助(元亀次郎さん)とは袂を分かって新派に入られたようです。期待通り、女形の緑川夫人はやっぱりものすごく綺麗でした。私の黒蜥蜴の歴史は丸山明宏(現:美輪)か、小川真由美で、今回の 河合雪之丞さんも何か異形の美って感じで素敵でした。
三島由紀夫版(美輪さんが上演している)の舞台は言葉がキラキラしていて、本当に美輪明宏さんの独壇場なのです。でも今回の新派の公演は脚本も違う方で私にとっても”新鮮!”でした。江戸川乱歩の小説に出てくる怪人20面相や黄金仮面なんかも勢ぞろいで、東京タワーで明智探偵と緑川夫人が手に手を取って逃げ回る演出はお祭り騒ぎで盛り上がりました。
明智小五郎役の喜多村緑郎さんも歌舞伎から新派に入ってきた方で、舞台で最初観た時はそんなに魅かれなかったのですが、明智と緑川夫人が丁々発止わたりあってるうちにどんどんイケメンに見えてくるからおもしろいw 2人が手を取りながら自分たちの生い立ちの話をして”私たちは実は離れ離れになった双子の生き別れなの”_と夢語りを始めるところが哀れだったな_。
三島版の黒蜥蜴では緑川夫人は”悪の魅力に憑りつかれた悪の華”みたいな役なんです。生い立ちやそれまでの不幸ななりゆきで”悪く”なったわけではなく悪いことにときめいて”悪く”なったというような悪の化身。
新派版の緑川夫人は”悪”の仮面の下に幼いころの幸福な家族の姿を、そっと抱えている少女のような女性でした。
日本橋の三越劇場は昭和に建築された舞台で、劇場そのものが舞台装置のような小屋です。新派の世界観にピッタリで今回の公演をひっそりバックアップしているようでした。