恩賜のタバコ | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

恩賜のタバコ

父の遺品を整理していた小学生の頃だった。

黒い箱に金の紋章

一目で天皇陛下からの頂き物とわかった。

開けると煙草で一本一本に菊の紋章が刻まれていた。
母は開けた煙草を一本吸うと「不味い!!」と言ってゴミ箱に放り込んだ。

私は子供心に昭和天皇からの頂き物を捨てて良いのか!?

天皇陛下からの頂き物は、万民が与えられる物ではない。

菊の紋章の入った煙草は、吸う物でなく飾って大事にするべき品なのではないか!?

今思っても恩賜のタバコ

貴重な品ではなかったか!?
こうして母は、父の遺品を次々と捨てた。

父のサインの入った絵皿におかずを盛った。

そして食器棚へ

私はこっそり隠した。

その絵皿は、今五代目が箱に入れ大事にしている。

90歳になる母は、終活をはじめているが、時折私はその中から父や弟三木助にまつわる物を拾い上げている。

中には、久保田万太郎先生の手紙も捨てられている。

人の価値観の違いを思わせる。