談志と私17 | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

談志と私17

談志は入院した。

私は毎日談志の要請で見舞いを欠かさなかった。

弟子達も来る。

私は一度談志の弟子に嫁いだことがあるので古い弟子とは顔馴染みだった。

私が行くとここが潮時と帰って行く。

弟子とはあまり頻繁に会っていないので弟子は談志のことを知らない。

しかし常に傍にいた私には、もうあまり談志が長くないのを肌で感じていた。

何も知らない弟子にせめて出来ることは談志を窓際に立たせて、帰って行く弟子を大声で呼び掛け談志に手を振らせた。

その入院の最中私に談志は「お前の息子を檜舞台に立たせてやる」と言われた。

実際談志自身が高座に上がれるか否かだったので私は聞き流した。

それから半年後

執念の高座復帰だった。

長年やってきた「談志ひとり会」国立劇場

その名の通り「ひとり会」

たくさんの弟子のいる中談志は「開口一番 桂三木男」で最後の談志ひとり会を行った。

久々の談志の高座にたくさんの弟子が詰めかけた。

しかし高座に上がるのは、談志と三木男だけ

国立劇場は満場

三木男は談志に呼ばれ「良いか、二度と上がれるかどうかの檜舞台だ!!みんな俺を見に来ている。しっかり頑張って勉めろ。良い勉強になる。」

こうして談志は、後の五代目桂三木助に舞台度胸を付けさせた。

談志自身いっぱいいっぱいのひとり会だっただろう。

これを最後に高座を降りた。