談志と私15
秋となり、次第に談志は私と三木男を一緒に呼ぶことはなくなった。
一緒に呼ぶと回数が少なくなる。
寂しがりやの談志は、別々に何度か呼ぼうと画策した。
その頃から次第に私に「俺が死んだらこれを高く売れ。お前は身内ではないので遺産は貰えない。これを売って小遣いにしろ」といろいろくれた。
「いらないよ!!」というと「お前は俺の価値をわかっていない。だから一緒にいて楽なのだけれど…俺はこう見えて結構ファンもいるんだ!!」
「そうなの!?」仕方なくたくさんの手描きの扇子やコートをもらった。
談志のサインの入った着古したコートは、迷惑だった。
三木男は練馬の自宅の大掃除と称して「お前は俺の紋付きは着られないから」と帯をもらった。
そこで、山藤章司さんの作った古今亭志ん生の焼き物の人形を見つけた。
「あっこれ」
「なんだ、欲しいのか?」
「はい私の一門の総帥の人形ですから」
「よし」と談志は人形を取り上げると志ん生師匠のハゲ頭に「三木男へ 立川談志」と堂々と書いた。
うちに帰ると三木男は、「あの人には謙虚さがないね。私の一門の総帥だよ!!黒紋付きとか裏とか書いてくれるならわかるけど…ハゲ頭にサインしちゃって」と嘆いていた。
でもその人形は、今三木助の居室に鎮座している。
談志は自分の死んだ後の私達親子を気遣ってくれた。
一緒に呼ぶと回数が少なくなる。
寂しがりやの談志は、別々に何度か呼ぼうと画策した。
その頃から次第に私に「俺が死んだらこれを高く売れ。お前は身内ではないので遺産は貰えない。これを売って小遣いにしろ」といろいろくれた。
「いらないよ!!」というと「お前は俺の価値をわかっていない。だから一緒にいて楽なのだけれど…俺はこう見えて結構ファンもいるんだ!!」
「そうなの!?」仕方なくたくさんの手描きの扇子やコートをもらった。
談志のサインの入った着古したコートは、迷惑だった。
三木男は練馬の自宅の大掃除と称して「お前は俺の紋付きは着られないから」と帯をもらった。
そこで、山藤章司さんの作った古今亭志ん生の焼き物の人形を見つけた。
「あっこれ」
「なんだ、欲しいのか?」
「はい私の一門の総帥の人形ですから」
「よし」と談志は人形を取り上げると志ん生師匠のハゲ頭に「三木男へ 立川談志」と堂々と書いた。
うちに帰ると三木男は、「あの人には謙虚さがないね。私の一門の総帥だよ!!黒紋付きとか裏とか書いてくれるならわかるけど…ハゲ頭にサインしちゃって」と嘆いていた。
でもその人形は、今三木助の居室に鎮座している。
談志は自分の死んだ後の私達親子を気遣ってくれた。