談志と私3 | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

談志と私3

しばらくたって私に談志から招待状が届いた。

厳密に言えば招待状が届いたと弟三木助から聞いた。

既に開封された招待状だった。

「すごいよ…姉貴、この招待状をもらったのは落語協会では姉貴だけだ!!」

それは、会費も祝儀もいらない。

自前で談志が快気祝いをするというものだった。

世間では談志はケチという風評が流れているが決してケチではない。

生きた金を使う人だった。
好きな人には、どんどん使う。

世話になった人には金を惜しまない。

以後私はずいぶん談志に小遣いをもらう。

私はパーティーに出席して欲しそうな弟三木助に「赤坂東急でしょう!!着ていくドレスがない。」

つまり、ドレスを買ってくれたら行くという暗黙のサインだった。

「ドレス作れば良いじゃない。」

私は、弟から金を巻き上げ銀座三越でドレスを2着作った。

どちらもベルベットのタイトなロングドレス。

談志の好みのスリット入りだった。

私はそれを着てパーティー会場へ向かった。

1つめんどくさいことは、元の夫もパーティーにいるだろうということだった。

赤坂東急のパーティーは、たくさんの人でごった返していた。

顔見知りは数人

談志夫妻と一門の弟子の立礼の中入場

私を見つけると談志は嬉しそうだった。

私の番

「茂子、お洒落じゃないか」というと談志は私のお尻を握った。

「きゃあ…」と私は、一足飛びに弟子の前を通過した。

止まったところは、志の輔師匠…まだ師匠じゃあなかったかもしれないが

案の定、パーティーが落ち着くと元の夫が寄って来た。

うざいのでそうそうに退席した。

談志は携帯を持たない。

つまり相変わらず連絡先を知らないままの一旦の別れだった。

談志は復帰後精力的に仕事をこなした。