五代目柳家小さん3
私が21歳の7月7日
私は小さんおばちゃんから目白の自宅に来るように言われた。
その前ふりは「お前三木助の名前どうすんだい?」
勿論今のように女性が落語家になれる時代じゃなかった。
すぐに弟に確認
弟は立教大学生で夜な夜な外車を乗り回し「六本木で盛夫を知らないなんてもぐり」という遊び人だった。
当然答えは「知らないよ!!小さんおじちゃんがなんとかするだろう。」
そして運命の7月7日
私は名前もよくわからない、勿論年齢も知らない小さんの孫弟子…談志の弟子と結婚が決まった。
ところが、その結婚を2日後に控えた4月6日
小さんがもう突進で我が家へ来た。
来るなり「盛夫ライター欲しがっていたよな!!買ってやるから履歴書かけ」
「本当に買ってくれるの?高いよ!!」
「ああ、いくらだって良い!!今日海老名の息子が落語協会に履歴書持って来た。お前もすぐに書け」
ニンマリと笑う弟は、14万円のライターを嘘ぶいて20万円とふっかけて履歴書を書いた。
当代はこれを「勧誘」と言うが私は「買収」だと思っている。
私の結婚の目的だった三木助の名跡を継ぐ…という政略結婚は、結婚式2日前に脆く崩れた。
私は小さんおばちゃんから目白の自宅に来るように言われた。
その前ふりは「お前三木助の名前どうすんだい?」
勿論今のように女性が落語家になれる時代じゃなかった。
すぐに弟に確認
弟は立教大学生で夜な夜な外車を乗り回し「六本木で盛夫を知らないなんてもぐり」という遊び人だった。
当然答えは「知らないよ!!小さんおじちゃんがなんとかするだろう。」
そして運命の7月7日
私は名前もよくわからない、勿論年齢も知らない小さんの孫弟子…談志の弟子と結婚が決まった。
ところが、その結婚を2日後に控えた4月6日
小さんがもう突進で我が家へ来た。
来るなり「盛夫ライター欲しがっていたよな!!買ってやるから履歴書かけ」
「本当に買ってくれるの?高いよ!!」
「ああ、いくらだって良い!!今日海老名の息子が落語協会に履歴書持って来た。お前もすぐに書け」
ニンマリと笑う弟は、14万円のライターを嘘ぶいて20万円とふっかけて履歴書を書いた。
当代はこれを「勧誘」と言うが私は「買収」だと思っている。
私の結婚の目的だった三木助の名跡を継ぐ…という政略結婚は、結婚式2日前に脆く崩れた。