落語協会分裂の内側2 | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

落語協会分裂の内側2

出て行く咄家達に小さんは動じなかった。

寄席の席亭(オーナー)は、落語協会から出て行く咄家達は全員寄席には出さない!!と決定した。

驚いたのは、自分たちが寄席の収入源と自負していた売れ筋だった。

落語協会の大半出て行く中、「出て行きたけりゃ、出て行きゃ良いさ!!だけど二度と寄席には出さないからね!!」と強気の姿勢

志ん朝、談志は自分たちは良いが自分たちのたくさんの弟子が寄席に出られなくなるとは想定外だった。

苦渋の選択

己の羽ばたく夢を取るか、弟子の寄席修行を取るか!?

出した答えは、寄席に反旗を翻すことはできない!!だった。

翌日、一転の涙の記者会見となる。

今だから言える!!

革新という妄想

古いしきたりに守られた咄家達は、新しく踏み出せば何か変わる!!と考える。

しきたりと伝統に守られ今日があるのを、当たり前と考え、新たな一歩にこそ夢を託す。

結果は、推して知るべし。
泣く泣く戻った咄家達。

何事もなかったように受け入れた小さんと席亭。

出て行った円生師匠。

寄席という場を失い、たくさんの弟子や孫弟子の修行の場を設ける為、無理して仕事を引き受ける。

看板がなくては、客が入らない!!

自ら看板となる為必死に落語会を行った結果、過労で倒れ命を落とした。

円生師匠が亡くなると、一門の弟子は、先代円楽師匠を残し全員落語協会へ戻って来た。

寄席の修行や寄席の有り難み…出て行かないとわからない!!

誰しも、現状に満足せず…新たな未来を夢見る。

伝統やしきたりに守られていることを忘れて

出て行った先は、茨の道とは、なかなか思えない。

最終的には、談志は家元制を敷いて出て行くが、私は小さんの話と死ぬ間際の病院での談志の述懐を聞いて…落語家はやはり、伝統としきたりの中に生きるもの!と答えを出した。

談志の述懐は、公には出さない。

私一人胸に閉まって、談志の弟子の方だけに語る。

時代は変われど制度変わらずが一番落語家には望ましいが、周りは次第に変わり訳のわからない理屈が通用し始めた。

志ん朝涙の記者会見の裏には、守らなければならない弟子の存在があった。

多くの師弟関係は、いつの時代もありがたい師匠の存在があることを忘れてはならない。