ドラマチックな人生

年末年始派遣の育成をしているうちに新入行員指導が始まった。

〇〇支店は、元富士銀行の建物でもしかしたら安田銀行だったんじゃないかと思うくらいに重厚な建物だった。

一緒に行くKは無口だった。

「緊張している？」と私が聞くと「目茶苦茶緊張しています。」と答えた。


「だよね。役員店舗だもんね」

「はい」

「大丈夫だよ。私がついているから」
「ありがとうございます。」

支店長席が見えた。

支店長と副支店長は立ち上がり私達を迎えてくれた。

というか私を迎えてくれた。

支店長は満面の笑みで「ようこそ。ご高名はかねがね」と言うと握手を求めて来た。

「お任せ下さい。」と支店長と副支店長の名刺を貰い「ちょっと一服したいんですけど」と言うと副支店長が「これは気づきませんで」と喫煙室に案内してくれた。

喫煙室には自販機がある。

しょぼくれたKに「アイスコーヒーで良い？」と聞いておごってやった。

「どうしたのよ？」
「支店長は僕を一瞥もしないし名刺交換もしてくれなかった。」

「しょうがないじゃない。立場が違うんだから…私は招かれた客、あんたは案内人…」

すると喫煙室から「カリスマ？」「カリスマだろう」て言う声がする。

しばらく黙っていたら「失礼ですが、インストラクターですか？」

３人の男性がきちんと立っている。

「インストラクターの小林ですが…」

「何故去年来てくれなかったんですか？僕達二年生です」

オペリスクを出した行員だろう。

「新入行員指導は正式なプロジェクトじやなくたまたま私達のグループにこの支店の知り合いがいなかったからです。しかし人づてに聞いた話では完璧に貴方方のミスです。銀行員としてやってはいけないことしたんですから」とその時朝礼のチャイムがなった。

「個人情報漏洩、本人確認の有無は銀行員の最低の守るべきことです。お客様の財産を守る銀行員の」と言って朝礼に向かった。


続く