派遣の階段 | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

派遣の階段

高木、鴻池、松井達の少し季節の早いお中元のように私は、彼らの知り合いの支店長が居る支店へ駆り出され新入行員指導をした。


新入行員達に、銀行員としての所作、礼節、敬語を教えながらIMCカードを使ったセールスを教える。


「いずみ銀行には「涌き水」という月刊誌があり毎月私が教えた新入行員が獲得セールス賞を授与しているのを見るのは、楽しかった◎^∇^◎

しかし、ある一本の電話が人事にも認められていない新入行員指導を公のものにした。

私の携帯電話に見知らぬ電話番号が着信した。

それは、いずみ銀行新橋支店の副支店長からだった。

いずみ銀行新橋支店は、いわゆる役員店舗で副支店長だけでも3人いた。

そのうちの筆頭副支店長から私に内々で新橋支店の新入行員指導を依頼して来たのだった。

いずみ銀行での私の新入行員指導は公にはなっていないが、噂にはなっていた。

役員店舗の副支店長は、高木より立場は上だった。


つまり、副支店長は高木に頭を下げて頼むのは嫌なので、私に頭を下げて来た。


いわゆる頭ごなし…高木は面白くなかった。

「本来なら僕たちに頭下げて依頼する案件ですよ!それを特定の個人に…出来ませんね~この案件は」と膨れていた。


そんな高木に私はタバコの煙を吹きかけながら「面白そうじゃない…役員店舗の新入行員指導するのは…」


「失敗したらどうするんですか?相手は役員店舗ですよ!」


「失敗しなきゃ良いんでしょう。」


一同は沈黙する。

「来週やりましょう。どうせなら早いうちに」

役員店舗制覇すれば、私の派遣の階段はまた高くなる。

「期間は1週間取って…1週間で片付けるから」


高木の頭の中では、勝算した時の自分の地位がどうなるのか…素早い計算がされている筈だと私は見透かしていた。