派遣の階段 | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

派遣の階段

銀座のど真ん中は、新入行員11名の研修だった。

基本的に研修で困るのは、敬語を使えない若者と、日本語や諺を知らない若者相手である事だった。


金融商品や接客、セールスの研修の間~私は日本語学校の先生のように『良いですか?おばさんの日本語解りますか?』と聞きながら研修する。


諺なんか使おうものなら、一年生はキョトンとする。

時には、30代の私の上司たる銀行員も照れ腐そうに笑って『わからない人は恥ずかしがらずに手を挙げてください。』に手を挙げる。

上司は国立大学を出ていた。
私は私立の女子高とはいえ高卒とである。

私は英語は話せないが母国語の日本語は一応得意かもしれない。

私の目の前にいる一年生も、上司も私より高度な教育を受けた!と世間では評価されていたが、母国語は使いきれなかった。

そして、受け入れきれなかった。

また所作、礼節もあやふやだった。

金融商品を教える前にお客様の前に出すことすら危ぶまれた。

『良いですか…ボードを用いて、お客様にご説明するときに指で指したり~ボールペンで指してはいけませんよ!手をこのように添えて…』
チラリと見ると上司は一生懸命メモしていた。

久しぶりに出た一般社会は、言葉の通じない魔界のような気がした。