派遣の言い分(フィクション) | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

派遣の言い分(フィクション)

茂子は苛立っていた。
一年生や派遣スタッフに企業理念の一つとして、『銀行のあるべき姿』を、とうとうと語って来たばかりなのだった。

それに対して派遣している派遣会社から『銀行のあるべき姿より数字だ!』と言われた訳だった。

高岡は『銀行が見忘れた接客のマナーを取り戻せ!』と語っていたが本当はどちらなのだろうか?

疑惑さえ沸くほど派遣会社は数字と言い張った。

あくまでもきちんとした接客によるセールスが派遣先のスタンスと考える茂子と派遣会社は意見が異なる。

派遣会社のハンドブックには派遣先の信用を損なう事のないように充分に留意するようには書いてある。

しかし、派遣会社は『責任は銀行に押し付ければ良い』『成績さえ良ければ、手段選ばず』と言っている事と、やっている事がことごとく違うように感じる。

一般社会はどうなっているのか?茂子には理解出来なくなってきた。

派遣会社は派遣先の信用を守る!は解る。
しかし、現段階はそれに目をつぶり、派遣先の信用より派遣会社の表向きな面目の取り繕いだけではないのか?

一年生の指導に手を抜き、銀行の信用を失墜させたり、一年生の人生に傷を付けないと信じたから銀行は派遣でありながら、茂子に業務命令を発動したのであって、派遣会社が『責任転嫁せよ』とする等、思いもしないだろう。

企業理念は利益か?
ならばハンドブックに利益追求のみ…と書け!と勝手にキレた。

銀行本部と連絡が取れた時には茂子の怒りは沸騰点に達していた。