派遣の言い分(フィクション) | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

派遣の言い分(フィクション)

4日目…残すところ後一日で指導研修も終わる。

一年生の目標は、このセールスで未踏の一日50件だった。
6時間で50件は1時間で8件、申し込み所用時間15分と言われているこのセールスに~金崎の照合体制をもってもかなり厳しいし、お客様を引き寄せられるか…も問題だった。

しかし、今日は客の入りも良い。
興味深げにこちらを見ている。

一年生の本懐を遂げさせようとして、こちらを見ている客に近づくと『いや~稲穂銀行のA支店です。』『僕は本部から見に来ました。』サーカスでもあるまいし、あちらこちらの支店からの見学者ばかりだった。
相変わらず一年生は昼食も休憩も取らない。
茂子も同様だった。

派遣会社に言ったところで、責任を稲穂銀行に押し付け休憩は取れ!と言うだけだ。

事故が起きようが、起きなかろうが派遣先の事は知らない!と言うスタンスなら派遣先にハッキリ言ってやれば良い。
派遣先は派遣会社が責任をまっとうする覚悟であるだろう!と考えるから安心して任せるのだろう。

派遣会社に責任をとる覚悟は無くても、茂子には覚悟がある。
それを信じて一年生も仕事をする。

派遣スタッフなど足軽かもしれない。
しかし、稲穂銀行から給料を貰う以上は銀行員と同じ心構えで働きたかった。

しかし、その日は46件と目標に及ばなかった。本部の高岡は『ありえない数字です。素晴らしい!』と誉めてくれたが、一年生の目標は50件だ!

50件に近いからと納得するような、妥協タイプではない。
最終日の明日は全開で、50件取りにいこう!と雄叫びを上げながら、記念撮影をした。