派遣の言い分(フィクション) | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

派遣の言い分(フィクション)

翌日から6人は3時間交代の2部制となる。

9時から12時と12時から3時で午前組は午後食事をして、自分の持ち場に帰り、午後組は.12時までに食事して受付ブースに来るシステムだった。

このシステムは支店で決められたが、これだと茂子は休憩時間が取れない。
不慣れな一年生だけを店頭に残して、休憩を取っている間に事故が起きないとも限らない。

派遣会社はそれに対して『銀行に責任を取らせれば良い。』と無責任な事を平気で言う。

個人情報漏洩などのミスは金融庁に届けなくてはならない。
ミスした行員は銀行から、その時の状況を問われる。そしてオペレーションリスクという汚名を背負わなくてはならない。

銀行に派遣している以上、派遣先の利益を守る覚悟で臨んでほしいものだ!
茂子は一年生にそんな汚名は着せられない!と休憩は諦めるしかない。
ところが、異変が起きた。午後組は12時からなのにもかかわらず、11時を過ぎると下りて来る。12時交替の午前組は食事に行かない。『食事時間よ!交替よ。』と言う茂子に『せっかくのチャンスです。一食抜いたって死なないですよ!大林閣下こそ年なんだから飯だけでも喰って来てください。』6人は、笑いながら、接客しながら、茂子をいたわる。

『6人でミスのないように確認するから~』と言われ15分だけ休憩に行く。

仕事に休憩も取らずトライする一年生は頼もしかった。