派遣の言い分(フィクション) | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

派遣の言い分(フィクション)

茂子を本部で待っていたのは、高岡という茂子の関わる業務の責任者とその一党だった。

茂子はこの業務を辞めるにあたり全スタッフがわざわざ本部へ挨拶に出向くのだと思って本部へ来た。
『本部もいちいち辞めるスタッフを慰労するとはご苦労な事だ。』余程やる事が無いのだろう。案内された部屋に、
ずらりと並んだ一党を高岡は紹介する。『今さら紹介されても…』と茂子は思った。

着座を促され茂子が座るや否や『素晴らしい成績ですね!何故この成績が取れるのですか?』と高岡が聞いて来た。

『私は高尾銀行出身という事もあり、稲穂銀行も愛しています。また今回の銀行商品は稲穂銀行に口座を持つお客様には是非お知らせし尚且つ、使って戴きたい商品として稲穂銀行への忠誠もあり自信を持って販売促進にあたりましたから。』とまっすぐ高岡を見て答えた。

すると『素晴らしい!貴女と共に今後仕事をしたい。ついては貴女を本部直属のインストラクターとして迎えたい!』と言う。

『はぁ?私は辞める身です。』『はい派遣販売促進業務は辞め本部直属のインストラクターとして我々と一緒にやっていきましょう』
『ついてはこの鴻池が大林さんの担当となります。』と鴻池なる人物を指した。その人物は名刺を持ち、茂子に差し出して『宜しくお願いします。』と言う。

辞める予定で意気揚々と本部にやって来た茂子は出鼻をくじかれ、苦笑いだった。