血の系譜 (飛び火)
保護者会が終わるや否や私は学校を飛び出した。
保護者会等初めて出たから、友人も知人もいないし保護者会の終わりも不穏な空気に包まれていた。
案の定、翌日からクラスの雰囲気は悪いらしい。
女子生徒に絡まれたり、A君の友人に文句を言われながら愚息は学校へ行っていた。
一週間程経ったある日、愚息が青い顔をしている。
訳を尋ねると学校のロッカーをモップでA君がボコボコにし、息子に
『お前も、いずれこうなるから覚悟しておけ』
と言われたと話した。
私は階段を駆けおり、弟の家にインターフォンも押さずに入り、事の顛末を話した。
出来が良くなくても、我が家の大事な息子をボコボコにされては困る。
弟はすぐに電話にテープを仕掛けて校長に連絡をした。
勿論スピーカーフォンだった。
『A君がロッカーをボコボコにし、甥にお前もこうなるから!と言ったそうだが学校として、どう対応されたのですか?』
すると校長は呑気な声で
『しかし、ロッカーで良かったですね!人だったら死んじゃったかも知れませんねぇ』
と答えている。
『死んじゃったかも知れませんねぇ』
では困る。
学校は危機管理能力を持ち合わせていないらしい。
また学校へ行け!と命じられて、ノコノコ学校へ行き、校長室の隣の第一応接室に入ると部屋の隅にある灰皿を取り一服した。
こんなに来なければならないなら、もっと近くの学校にすればよかった…としみじみ思った。
タバコを吸っていたら、お茶と校長がセットになってやって来た。
私は校長が座るや否や、
『今回のロッカー事件はどうお考えですか?』と聞いた。
すると校長は
『ご安心下さい。ロッカーは弁償するようにA君の保護者に連絡しましたから』っと呑気に答えた。
私が聞きたいのは、ロッカーを弁償する話ではない。
ロッカー等学校の備品の心配をしに、こんなに遠い所まで来た訳ではない。
すると校長は
『他に何か、ご心配ですか?』と来た。
ご心配だから馳せ参じたのではないか!
糠に釘、暖簾に腕押し状況で私は校長に詰め寄った。