:血の系譜 (高座からの記者会見) | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

:血の系譜 (高座からの記者会見)

三木助はやっと左半身の麻痺も治り、退院することになった。

結局交通事故ではなく単独事故扱いになっている雰囲気だった。

退院すると三木助はすぐに警察署に出向き事情聴取を願い出た。

警察は勝手に作成した調書で事をおさめようとしていた。

『こちらから走って』


『いや違います。この歩道を走って坂をおりました。』


すると警察は直す。

『それでここを走り抜け』


『いや違います。こちらからライトが見えた瞬間…』


『一体この調書は、誰がいつ作ったのですか?』


と三木助が聞くと、あの事故の当日二人きた警察官が三木助の話を聞いて作った…と言う。

私もその場に居たが、三木助は鎮痛剤で朦朧としていたし、口は利け


ない状況で20分足らずでお引き取り頂いたが、話した事は左側に一


つライトらしき物が見えたという事と衝撃はどの程度だったかだけだった。

それなのに、事情聴取はすっかり終了した事になっていた。


世間を騒がせた事は紛れもない事実だし、現状三木助自作自演説が


まるで真相のようになっている。

前から決まっていた池袋演芸場に於いて、高座終了後記者会見をお


客様の前ですることにした。


小朝師匠等面白がって、懐中電灯の大きい物を買って来て記者会見


中の三木助に当てる。

三木助は高座から


『私にぶつかったのにお心当たりのある方は慰謝料等いりませんから


名乗り出て下さい。私はあなたのせいで、あらぬ疑いをかけられ困って


います。あの時の事は水に流すから名乗り出てください』


とテレビカメラに向かい話しかけたが、誰も名乗り出てくれなかった。


記者会見が終わり三木助は着替え私は三木助を先に帰した。

外に出るとある記者の方から、


『どうして、あの新聞に病室の写真を撮らせた』


と私は詰め寄られた。

すると先に出ていて遠くに見えた三木助がダッシュで戻ってきた。

三木助はその記者の方に向かい


『俺の姉貴に何するんだ。文句があるなら僕に言ってください』


と、すごい剣幕も途中から冷静になったのか妙な話しかけだった。


私は私を守ろうとする弟にちょっと嬉しかった。