:血の系譜 (一時{いっとき}の平穏) | 小林茂子オフィシャルブログ「生きてみよ、ツマラナイと思うけど」Powered by Ameba

:血の系譜 (一時{いっとき}の平穏)

姉弟の離婚騒動も一段落して、我が家も立て替えの準備に入る。

と同時に三木助も映画、ドラマ、舞台と仕事の範囲が広がった。

とても素人の子持ちの姉一人では難しい。

そこで 『愛と平成の色男』 で共演した石田純一さんの事務所スカイコーポレーションに入る事になった。

今は石田純一さんは勿論リア・ディゾンちゃんや杉浦太陽君の事務所だ。


スカイに入る際、落語界は解らないから誰か連れて来てくれ!


と言われ又私がのこのこ付いて行く。


しかし三木助の担当マネージャーは小杉さんという人になった。

小杉さんに三木助の取り扱い説明を伝授し私は芸能、企画マネージャーという肩書を付けられ芸能界をうろつく。

永島敏行さん、石田えりさん、デビューしたての袴田吉彦、デビュー前のビビアン・スーと多彩な顔ぶれに私は楽だった。

この頃 三木助は佐野史郎さん等とセゾン劇場で 『榎本武陽 』をやっていて毎晩打ち上げの飲み会が 割り勘といったシステムについていけないらしい。

落語界は座長か1番偉い人が支払いをする。


下っ端と下っ端なら一日早く入った方が勘定を持つ。

ある日 『あの僕が払いますから…』 と言ってから飲み代を持ったところ、目黒の三木助の自宅に居候が10人くらい出来始めた。

一人暮らしの三木助の部屋に掃除に行くと、ムサイ(失礼)男ばかりごろごろしている上に 姉弟の苦手な猫もいる。


私達が幼い頃子猫を貰っての帰り道、多分親猫だろうが子猫を掻っ攫われた。

びっくりして帰り母にその話しをしたら 


『猫は化けて出るから二人共今日の夜猫に化けて出られ殺されるよ』 


と言う。


マジで怖く私達はしばらく抱き合い寝る習慣がついたほどだ。

あの母には随分怖い思いをさせられた。

あれ以来猫が怖かった。

三木助の部屋にたむろしていたのは、喰えない舞台人と捨てられた子猫だった。


子猫は友人が拾って強引に置いていったらしい


『小太郎』


という三木助の前座名が付けられていたが、やたら跳ぶように私を脅かす。


猫嫌いを解っていたぶるような子猫だ。


既に小太郎は三木助の愛猫の立場を確立していたから猫嫌いの姉等怖くないと


『ひぇー』


と脅える私の目の前を跳ぶ。


本人はいないが、行く度に


『すみません。飯』


と居候に言われ子猫の飯代まで取られ怖いから掃除はやめた。



小杉さんはあれほど三木助取り扱い説明したのに…ドジばかり踏んでいた。

まだ私も三木柏が危険物マークと知らなかったから、取り扱い要注意コードが万全でなかったらしい。