血の系譜 (嵐の予感)
弟の婚約発表をテレビで見てバッチイ弟が立派に見えて来た。
一方私は明るい母子家庭として周りから憧れられるようになり幼稚園の園長から叱られた。
母子家庭に憧れを持たせるな!と…
7月になり弟が私に擦り寄って来る。
32年間の付き合いで彼が擦り寄って来てろくな事があった試しがない。
案の定だ。
挙式3日前だというのに結婚したくない!と宣わった。
もう嫌だぁ~
長嶋茂雄監督乾杯の音頭を皮切りに各界の著名人をお招きして千人近い招待客をどうしろというのだ。
私は弟から逃げ回り、弟は私を追いかける。
そこに面白がって子供も参戦して来る。
一見追いかけっ子のように見えるが内容は天下の一大事だ。
そのうち母親に『うるさい』と叱られた。
内容を知ったら血圧上がり倒れるのに、いつも母親は土俵の外に居て私を怒る。
致し方ないので子供を母に預け弟と車で外出した。
結婚したくない!と結婚式を取りやめるのは無理だ!の闘いで、やはり私が勝った。
しかし、単なる兄弟喧嘩ではないので勝っても負けても、お先真っだ。
昨年私が離婚し、弟は結婚前から、このていたらく。
一年くらい待てないか?と聞くと
待てないから結婚式止めたい!と言われ途方にくれる。
とりあえず結婚式はあげよう。
好きになったり嫌になったりは些細な事だ。
また好きになる可能性もなくはない。
一本の蜘蛛の糸に縋る気持ちだった!
蜘蛛の糸がきれたらその時はそれから考えるしかない。
家まで送らせ弟は帰した。
家に着き『何の話しだったの?』と呑気に聞く母に
『結婚式の打ち合わせ』と答え
子供に『早く寝ろ!』と八つ当たりして私も布団を引っ被り寝た。
明々後日結婚式だ。
古館伊知郎さん 三雲さん司会。
当時のトレンディー俳優石田純一さん、田原俊彦さん芸能界から大勢の来賓。
あ~あ頭が壊れそうだ。ふて寝以外なかった。