9月24日公開の「ハドソン川の奇跡」を観てきましたので、報告します。
この作品は、2009年にアメリカ、ニューヨークで実際に起こった航空機事故を当事者である機長の手記をもとに映画化されたものです。
監督は名匠と言われる86歳のクリント・イーストウッド、主演の機長「チェズレイ・“サリー”・サレンバーガー」役はトム・ハンクス、この二人はアカデミー賞を2度も受賞しています。そして、副機長の「ジェフ・スカルズ」役はアーロン・エッカート、機長の夫人「ローリー・サレンバーガー」役はローラ・リニーと素晴らしいキャストです。
若干「ネタバレ」ですが、あらすじと見どころをお伝えします。
2009年1月15日、厳冬のニューヨーク、ラガーディア空港を離陸したUSエアウェイズ1549便は、離陸直後、マンハッタン上空850メートル付近でバードストライク(鳥の群れに遭遇して、鳥をエンジンに吸い込む)で2基両方のエンジンが急停止してしまいます。
その後の緊迫した208秒の間、究極の決断を下した機長によって、飛行機はハドソン川に不時着水し、近くにいたフェリーボート乗組員や消防隊員などの迅速な救護活動もあって、乗客乗員155名全員が無事、救出されます。
この話は、日本でも大きく報道され、奇跡的な出来事として、感動を呼びました。
私たちは、このことしか知りませんでしたが、実はその後、事態は一転し、国家運輸安全委員会(NTSB)の調査が入り、機長の「サリー」は、乗客乗員を危険にさらした無謀な判断とした疑いで容疑者的扱いをされることになります。
検証されたデータでは、エンジンの1基は、かろうじて動いており、コンピュータシミュレーションでは、近隣の空港まで行くことができたことを示したのです。
このことを争点とする調査委員の質問をベースに、事故当時の状況と機長サリーの心的葛藤を克明に表現しています。
必ずしも時系列でなく、機長のフラッシュバックによって事故を振り返る構成で、観客の興味と関心、緊迫感、そして感動を引き出していると思います。
すでにアカデミー賞候補とも言われているようですが、リアルな緊迫感、人の命の尊さとその命を救うために必死に行動する人々、それから、主人公たちの苦悩、心情を観客の心に直球で訴える素晴らしい演技、本当に感動します。
機会を作って、ぜひ、観てほしい映画です。