先週末、信州と上越、具体的には、松代城、川中島古戦場、妻女山、春日山城、善光寺そして長野県信濃美術館東山魁夷館に行ってきました。本日は東山魁夷館について少し、紹介します。


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東山魁夷館は、長野市の善光寺のすぐそばの城山公園にある長野県信濃美術館に併設というかその一部で東山魁夷の作品960点を収蔵しています。作品が日本画ということで傷まないように各作品の展示は最大でも1年に2か月として、作品の一部を順次、展示しています。

建物は美術館らしいおしゃれな感じです。


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そもそも、この美術館に東山魁夷の作品が集まっている理由は、1926年、彼が18歳の時に木曽川沿いに旅行して、たまたま案内された公園の風景が心に残り、信州の風景を描くことが多くなったそうです。その結果、晩年に自分の作品を長野県に寄贈することにしたようです。
彼は決して信州に生まれたわけでも、信州で暮らしたわけでもありませんが、それでも自ら作品を長野県に寄贈したのは、信州の豊かな自然が彼に与えた影響が、それだけ大きかったということなのでしょう。想像はつきますよね。

入場チケットは彼の代表作の白馬シリーズです。


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本年度の年間テーマは「魁夷をよむ」だそうです。彼が遺した随筆作品をベースに、それに呼応する絵画作品で展示を構成しています。現在の第Ⅲ期(9月3日~11月3日)の 自伝抄「旅の環」では、15歳の自画像から絶筆まで東山の生涯にわたる作品が紹介されています。また、川端康成や井上靖、三島由紀夫など、挿絵などを通して交流をもった文豪たちとの関わりも紹介されています。

東山魁夷は、日本画を描いていた私の亡き母が好きな画家であったということもあり、親しみがありましたが、今回、多くの作品を観て、私も好きな画家だなと思えるようになりました。

今回展示されていた作品で一番、気に入ったのは絶筆と言われている「夕星」でした。

絵葉書ですが、次の作品です。


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東山魁夷はこの「夕星」について、次のようなことを話しています。
「これは何処の風景というものではない。そして誰も知らない場所で、実は私も行ったことがない。つまり私が夢の中で観た風景である。私は今までずいぶん多くの国々を旅し、写生をしてきたが、ある晩に見た夢の中の、この風景がなぜか忘れられない。たぶん、もう旅に出ることは無理な我が身には、ここが最後の憩いの場になるのではとの感を、胸に秘めながら筆を進めている」

この「夕星」にはサインと落款がないそうで、ご本人はまだ手を入れたかった作品かもしれません。

あと、今回、観ることができませんでしたが、絵葉書を見て気に入った2点を紹介します。タイトルが上手につけられていると思います。

「春静」。


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「秋思」


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最後に自然を愛し、描いた彼の作品を観たということもあり、今回の旅行で立ち寄った色づき始めた妙高高原の写真をおまけにつけさせてもらいます。



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ちょっと、写りが悪いですが・・・これからの各地の紅葉、楽しみですね。