つづきです。
準決勝を終え、ワシは逃げるようにサンクのアジトへ戻っていった。
そう、この大会は東海3県で行われる最後のトラキン地方予選。もう、既に63名もの参加者が敗れ去っていった。「次があるから」なんて、よう言えない。特に若い子には・・・。
そりゃあ、関西の小さな釣り場をホームとするワシがやで、しかも、たまにしか釣りできへんし、言うほど釣りも上手いわけじゃないし。
「下剋上」やとか言いながら、いざ、達成すると・・・対戦相手から目を逸らしたくなってしまった。
そして、決勝進出者9名の発表。
ワシが呼ばれる番になり、「MC A藤」は驚きを隠せなかったようだ。「何でお前が勝ってんねん」と言わんがばかりの表情だった。
さて、クジを引くと、
※)O北くん提供。
9番。釣り座を選ぶ事ができない。
この番号が、この時、何かの暗示となるとは思いもしなかった。
千早川勢で生き残ったのはワシだけだった。千早川勢のみんなが声援を掛けてくれた。きっと、忸怩たる思いがあっただろうに。
だが、その声援に応えられる程の技量をワシは持ち合わせてはいなかった。
ワシは「My Game」に徹する事にした。
決勝戦はグリムと心中。
※)あーリーさん提供
釣り座に立つと、周りから物凄い声援が。なんや、ワシの事で盛り上がっていた。こんなに盛り上がってくれるとは思いもしなかった。
決勝戦がスタートし、早速ヒットするもバラし。また、バラし。コレを何回繰り返しただろう。
今の絶対バレへんやろって言うフッキングも敢え無くバラしていた・・・。
※)あーりーさん提供
ようやく1匹目。この1匹が遠かった。
ここから巻き上げたい。そんな思いを抱くが、ミノーにスレて来たようだ。だが、マジックジャークを止めようとはしなかった。
ワシの隣の方はバシバシ釣ってはった。
普段なら動揺しそうな場面だが、この日に限っては自分の釣りに集中してしまった。
決勝戦10分3ローテが終了。結果は4匹。
終わってからも、皆さんからの声援は凄かった。「バラしがなければ勝てたのに」とか「ミノー良かったね」とか。
疲れ果てたワシは、表彰台に座り込んだ。すると、MC A藤に叱られた。
結果発表。ワシは9人中9位だった。まさに、クジが暗示したかの様に。
焼きいも🍠から継ながったバトンは表彰台に届く事はなかった。
「My Game」はできたので、負けて悔いなし。
映えあるエキスパート戦進出者は、
3位が確か・・・8匹だったかな。間違いなく、その差分はバラした数と同じくらい。
ワシはこの日「エキスパートアングラーになり損ねた残念な男」になってしまった。
だが、前回大会直後の嫁さんの怒り💢ようから出場できただけでも奇跡だった。
優勝されたO内さんはワシの横でバシバシ釣っていた方だ。「優勝おめでとう」と声を掛けると、「ブログ見てます」と返された。
ワシは知らないうちに有名になっていたようだ・・・った。
試合終了後の周りからのお声。
ランディングが固かったけど、緊張してた?
(C条さん)
よくバラしていたから、針が鈍ってたんだろうな。
(アフターでのとっちさん)
緊張はしていなかったが、知らず知らず、動きが固くなっていたんだろう。体は正直や。
確かに、準決勝を終えた時にフックは交換すべきやった。ただ、6匹釣ったくらいでフックがアカンようになるのか?次からは、マメにフック交換。
どちらも、敗戦の原因なんやろうな・・・。
この日の晩酌。
遠くを見つめ、感慨に浸ったのは、エキスパートに届かなかった悔しさでは無く、周りの方からの声援が何より嬉しかったからだ。
そりゃあ、家庭ではケチョンケチョンに言われているから。
今日のブログはコチラから。
今日の仕事がようやく終えた。
この街は眠らないのか・・・。ワシは寝たい。
おしまい。