上京物語─500円─
場所は埼玉、鶴ヶ島。
僕、20歳に近い19歳。
オーディションに受かり上京した、夢に目を輝かす少年でした。
はい、昨日のつづき。
上京して10日が経つかどうかの時、早くも稽古なるモノが始まりました。
プロフィールには「毛皮のマリー」が初舞台になっとりますが、
実はその前にやってた本当の初舞台作品がありまして、その舞台です。
前の事務所の時に何故かプロフィールに載らなかったのでござる。
あと、何故かプロフィールに載らなかった舞台が3本ばかりあるのでござる。
多分、個人的にやったモノだからと思われる。
はい、余談でした。
稽古といってもキャストが集まる本稽古ではなく、全くお芝居するのが初めてだった僕は、舞台のプロデューサーがやってた養成所なるところに入れてもらい稽古をすることになりました。
稽古場は四谷。
週に2,3回だったかな。夕方から稽古。
基本的に始発で池袋に行って、夕方までコンビニでバイト。
それから四谷に行って22時まで稽古して、夜中に帰宅。
なにせ池袋からの最終は23時半とかで、各停だから1時間以上かかるんですよ。
で、また朝からコンビニ。
コンビニがない時は日雇いの仕事。
働いたその日の日給が、次の日の夕方に振り込まれるというもの。
これが当時はすごく有難かった。
その繰り返し。カノン。
当時、牛丼がまだ500円だった為、僕には高価で食べれず、カップラーメンで何とか腹を紛らわせて、家に帰ってご飯炊いて食べたりしてました。
沢庵だけで。
おかずはなし。
でもこれが僕は大好きで、高校の時も食堂で「おばちゃん、ご飯だけ!大盛りで!!」って叫んでた。
あとね、若かったからか大食いで大食いで・・・・。
この体のどこにコレが入るのかって自分でも不思議だった。
食べれるときはラーメン大盛り、餃子、チャーハン大盛り、やきそば大盛りをぺロって食べて腹八分目って言ってた時期です。
かるい孫悟空みたいに。
相変わらず家では布団に包まれないと生きていけない寒さに耐えながら、東京初の年越しをコンビニバイトで過ごし、成人式を迎える頃、東京は記録的な大雪になりました。
電車が停まってしまい家に帰れず、友達もいなくて、初の野宿を経験しようとしてた時、ポケベルが鳴った。
あ、当時はまだポケベルだったんですよ、僕。
携帯持ってる人も増えてきた中途半端な時期でした。
オーディションで会った友達からで「大丈夫か?生きとるか?もしよかったら家に来い」と有難い言葉。
その友達の家は阿佐ヶ谷で、時間はかかるがそこまでは何とか電車が運行するとの事。
やっぱり、神様はいるんだな。
と友達の家にお邪魔して夢を語り合った日が昨日の事のよう。
その友達は今頃どうしてるだろうか。
ただ、その後何度か野宿的な事はしたけどね。
わかりやすく公園のベンチで朝まで寝て、始発で帰ったり。
シャワーだけ浴びて、日雇いの仕事行ったりとか。
当時、まだマンガ喫茶なるモノもなかったし。
でも、辛いとかって思わなかったのだ。
やりたい事をやってる幸せ感があったからね。
あと、そういうのに関してはタフみたい。僕。
それは今も一緒かな。
ま、本当にしんどくなかったし。
色んなモノが目新しくて楽しかったし。
やりたい事やるには色んな犠牲も必要だし。
それが当たり前だし。
みんな、そうやって上に行くんだろうし。
うん、だし。
で、そんなこんなしてる時に大問題発生。
雨が続いて日雇いの仕事が出来ずにお金が底をついてしまったのです。
やっとこさ晴れて、日雇いの仕事をして帰ってきた時の残高500円弱。
明日の夕方には今日の働いた分の収入が入る。
だけども、明日は稽古。
まとまったお金がなかった僕は定期券すらも持ってない。
稽古に行かねば、僕はどうしてここにいる?
僕の存在意義に関わるではないか!
さあ、どうする?
池袋のバイト先まで行ければ借りれる人もいるだろうが、片道500円だから池袋までもいけない。
で、初めて親に泣きの電話をした。
それだけはしないようにしようと思ってたんだけど。
決して裕福な家庭じゃなかった事もあるが、長男が大事件を起こして大借金を抱えてきた事があって、言いづらいのはそれが大きかったかな。
それはまた別のお話。
僕「あのーすごい言いにくいねんけど・・・・」
母「どうしたん?・・・・金か?」
僕「うん、ちょっと計算狂ってもうて・・・・」
母「うちもないけど言うてみい、なんぼぐらいや?」
僕「500円あれば稽古いけるねん。500円だけ振り込んでくれへん?」
母「・・・・は??500円??」
僕「郵便局やったらすぐ振り込まれるらしいからお願い!大丈夫や!明日の夕方には今日働いた分が入るねん」
母「・・・・あんた、どんな生活してるん?」
次の日、郵便局に行くと一万円が振り込まれてた。
なんと感謝したことか。
ありがとう。お父さん、お母さんよ。
ご飯我慢、と思ってたけどモグモグ食べれたし。
ありがとう。お父さん、お母さんよ。
何とか生きのびて、初舞台をやり遂げました。
やっぱり色んな人の助けがあって僕がいる。
世の中よ、ありがとう。
ごらん、世界は美しい。byブッダ
うん、その時は世の中すべてが美しいと思いました。
この稽古中に受けたオーディションがプロフィール上の初舞台、寺山修二さんの名作「毛皮のマリー」。
見事、美少年・欣也役に受かり、ここから僕の人生は大きく転がり始める。
まだまだ語りきれないので、それもまた別のお話。
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「ブーさんスープ、もとい、豚汁」
ごま油で、塩コショウした豚のばら肉を炒め、色が変われば細かく切った野菜を炒めます。
(ゴボウ、人参、大根、コンニャクなどオーソドックスなのがあれば良いけど、僕はなかったから、人参、小松菜、ナス、わけぎ等を入れた。中でもわけぎは汁物の時はあると最高。青い葱部分がいい味だします。)
で、火が通ったら、水と和風だしのパックを入れます。今回出汁は強めに。
ちなみに出汁のパックは値段が高いほど美味しいと思われる。
味噌は薄めになる感じで入れて、塩で味を整える。
お好みで軽くバターを入れてみても旨し。
出汁の味が強くて味噌が薄くなれば、ブーさんの本来の味がより濃くなる気がします。
ま、好みだけどね。