人魚姫には、もう憧れない~純愛ラプソディ番外編~【前編】

<第22章>告白

 

 

帰宅しても怒りが収まらない美穂子は、

誰かと話したいと思い

浮かんだのが上野さんの顔だった。

 

“ねえ、聞いて欲しい話があるんだけど、いいかな?”

 

美穂子が彼女にラインを送ると

“ええよ。”と返ってくる。

 

美穂子は上野さんに、洗いざらい話す事にした。

 

 

 

ラインでやり取りをしているが、

埒が明かなくなり電話がかかってくる。

上野さんは美穂子を叱ったが、

それ以上に海野に対して、怒ってくれた。

 

「もう6年もそんな事を続けた挙げ句、

奥さんが妊娠した?馬鹿やないの?」

 

その馬鹿と6年も付き合ってきた

美穂子も相当な馬鹿であるが、

なんだか上野さんにそう言ってもらえて

彼女は嬉しかった。

 

「奥さんのほう、取るやろうね。」

上野さんが言う。

美穂子もそうだろうなと思っていた。

 

「なあ、岡田君の子では無いんよね?」

上野さんに聞かれ、美穂子は否定した。

「違うやろうな。週数合わへん。」

 

彼女もそれくらいは、知識として知っている。

岡田君の子供だったら・・・とも思っていたけど

どう考えても違っていた。

 

「今からでも、岡田君に話してみたら?」

「何を?」

 

“他の男の子供を妊娠したけど、

相手は奥さんのいる人でした。”

 

なんて話しても、馬鹿にされるだけだと思う。

 

「好き、なんやろ?岡田君の事。

そういうの、無碍にする人やないと思うから

妊娠の話は伏せても、

やっぱり思いは伝えた方がいいよ。

こんな事言っちゃなんやけど、やることやったんやろ?」

 

言われてみれば、確かにそうだった。

 

身体の関係を一回持ったくらいで

いろいろと言う女には

なりたくなかったが、

そうこうしているうちに、こんな事になってしまったのだ。

 

もう、都合のイイ女は真っ平だった。

 

「せやな。」

 

美穂子はそう言うと、翌日の土曜に

岡田の仕事場へ行くことにした。

 

 

 

 

クリック<第23章>へ