そして恋が降ってきた【後編】
<第三十六章>大円団、そして・・・後日談
「マスター良かったね。」
翔とカナが一杯目のモスコミュールを頼んだ後、
博之に祝福の言葉をかけた。
健太とトモコと三人で生活するようになって
一週間が過ぎ、
彼の持つ雰囲気は、
前よりももっと柔らかくなった。
つまみ代わりにトモコの作った惣菜が
店に出るようになると
それが評判を呼んで、客足も以前より少しずつ増えたようだ。
「今日も、一杯ね。」
と、カナが言う。
彼らは一度満席だった事があり、
それからは、事前に必ず予約を入れるようにしていた。
カナとしても、マスターの店が流行ってくれるのは
嬉しい限りだった。
「パパも喜んでるわね。」
カナの父も、この店が大好きだったから
きっと嬉しく思っているだろう。
もちろん親友の幸せも、祝福してくれているはずだった。
「トモコさんって、アゲマンなのね。」
カナが言うと、
博之は照れくさそうに頭をかいた。
「そういえばマスター、ご両親は健在なんでしょ?
どうしたの?説明。」
翔が尋ねると、
「ああ、それがですね・・・・・。」
と彼は言いながら、話してくれた。