いばら姫LOVE AGAIN

<第七章>コーヒーの彼再び

 

 

それから10分くらいしただろうか。

コーヒーの彼が、病室の外に立っているのが見えた。

 

上司たちが帰るのを

待っていたのだろうか?

辺りを見回してから、雅のほうをチラリと見る。

 

「あの・・・・どうぞ。」

彼女が招きいれると、

遠慮しながら入ってきた。

 

手にはコーヒーを二つ持っている。

「はい。」

一つ雅にくれた。

 

「ありがとう。」

と彼女が言うと、

ようやく表情が柔らかくなる。

その顔を見ると、なんだか安心感があった。

 

「あ、シュークリームもらったから。良かったらどうぞ。」

さっきの箱を開けると、

彼にそれを勧めた。

 

椅子にかけながら

「ありがとう。」

と、彼はシュークリームをほおばる。

 

「うまい。」

短い一言だったが、感情がこもっていた。

 

「沢山あるから、もっと食べて。」

彼の食べている顔が好きだと思った。

胸がぎゅっとするような、苦しいような

幸せなような気持ち。

 

温かいものが胸に流れてくるのは

まるで恋のようだと思った。

 

雅が一つ食べている間に、

彼は三個も食べたが、

それからおもむろに

「じゃ。」

と言って帰っていった。

 

手元のコーヒーが温かい。

 

彼女は彼の名残を感じながら、コーヒーを飲んだ。

 

 

 

 

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