ソファーで交わった後で、私たちは


ビデオ鑑賞をした。1時間ほどのビデオ。


廃墟解体新書というマニアックなビデオだ。


借りてきたのは私。係長と仲良くなったのは


お互い廃墟建造物に興味があったからだ。


でもきっとお互いの趣味嗜好が


違っても私は彼の事を好きになっただろうけど。


ビデオは予想通り私をワクワクさせて、


とても楽しいモノだった。


時間はまだお昼前…


「お腹減ってる?」


「うーん…減ってると言えば減ってるし」


「どこか行ってもいいけど、スパゲティでも

作ろうか?」


「うんっそれでいいよ」


係長が台所に立つその姿。自分の家でも


そうしてるんだろうな…と思うと少し切なかった。


私の知らない係長をいっぱい知ってる「誰か」


が遠い場所で今彼の子供と過ごしている。


今私がここでこうしているのはきっとすぐに


思い出になってしまう。


係長の思い出に私はなる運命で、決してこの先


何かがある関係ではないことは分かり切っていた。