その日はとてもいい天気で、予想最高気温
は30度超えだった。私は茶色のロングワンピース
に身を包み、係長の家に向かった。
4ヶ月ぶりに訪れる、マンション。もうこのエントランス
をくぐることはないと思っていた私の気持ちは
複雑だった。
部屋番号を入力すると、係長の声が聞こえて
扉が開いた。私はマンションの中に入る。
部屋の前、インターフォンを鳴らす。
「おはようございます」
「おはよ」
係長は私を軽く抱き寄せた。
外国人がするハグみたいに。
「久しぶり」
「うん…」
逢いたかった人が私の目の前に居た。
作戦を考える私と、本能で動こうとする私が共存する。
今日という日が始まったばかりだった。