週刊現代より転載
2017.09.07

バリウム飲むのは日本だけ?アメリカでは絶対やらない手術・薬・検査
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52709

 

いまやバリウム検査をしているのは、世界で日本だけ?
 日本は本当に「医療先進国」なのか。
あなたやあなたの家族の治療は、ひょっとしたら間違っているかもしれない。
 

日本は外科至上主義

 

「日本のがん治療は外科至上主義が強く、すぐに『切りたがる』外科医が非常に多い。

 

トップレベルの外科医は高い技術を持っていますが、一方で放射線治療や抗がん剤といった選択肢を患者に示すことが少なく、結果として術後の負担を大きくすることもあります」(都内大学病院教授)

 

日本の医師が「やりすぎ」だといわれる術式のひとつに、リンパ節郭清がある。
がんの転移を防ぐために、腫瘍の周辺部にあるリンパ節を切除する方法だ。

 

医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が語る。

 

「切除によってリンパ節浮腫を引きおこすケースがあり、患者への負担が大きい。米国ではまずリンパ節生検で転移がないか様子を見て、転移の危険性が非常に高ければ切除します。

 

一方、日本の外科医は一種の『腕試し』だと思って、リンパ節を必要以上に切ってしまうきらいがあります」

 

前立腺がんも、日本の外科医が手術したがるがんのひとつだ。
国立がん研究センターの統計予測によると、'16年の前立腺がんのがん罹患予測数は9万2600人におよび、男性がかかるがんとしては最も多い。

 

「前立腺は骨盤の奥にあり、膀胱や直腸に接しているため手術が非常に難しい。日本では腹腔鏡による全摘出を勧める医者も多いですが、アメリカでは切らずに様子を見るか、放射線治療を行うケースが多いです」(前出・上氏)

前立腺は排尿や男性機能を司る重要な器官だ。


摘出してしまった場合、尿漏れや射精障害を招くこともあり、術後の精神的負担が非常に大きい。

そのぶん手術には慎重になり、放射線治療などで前立腺を残したいところなのだが、そうもいかない事情が日本にはある。

 

「日本は欧米と比べて放射線科の医師があまりにも少ないことが問題です。これだけの医療施設がありながら、放射線治療専門医はわずか1000人程度しかいません。

海外のように若手を育てる環境もないし、そのことが治療の選択肢を狭めているといえます」(医療コンサルタントの吉川佳秀氏)

 

放射線治療専門医が少ないことは、治療方法だけでなく検査方法にも不都合が生じる。

バリウム検査は胃がん検診で一般的に行われる方法だが、実はもはや日本でしか行われていない
ほとんど知られていないが、そもそもバリウム検査は日本で開発されたものなのだ。

バリウム検査で食道がんや胃がんの位置を正確に特定するのはほぼ不可能ですし、むしろX線撮影による被曝のほうが心配です。
米国ではほとんどCT検査で胃がんの診断をしていますが、CTのほうが身体への負担は明らかに少ない」(前出・吉川氏)
 

米国では犯罪になる治療も

胃の形は複雑なため、最低8枚のX線写真を撮影することになる。
しかも、胃の動きを観察しているあいだ放射線を浴び続けることになり、状況にもよるが一回の検査で10ミリシーベルト以上を浴びてしまう。

 

一般的に人間は生涯に100ミリシーベルトの放射線を浴びると、がんのリスクが上昇するといわれており、決して軽視できない数値なのだ。

 

日本では普通に用いられているが、米国をはじめ海外では使用を控える医者が増えている薬もある。

薬剤師の宇多川久美子氏は次のように語る。

 

抗がん剤のなかには、WHOが使用を控えるよう通達しているものが9種類あります。そのなかで特に日本でよく使われているのは『シクロホスファミド』という種類のもの。ほとんどの種類のがん治療で標準的に使われています。

ところがWHOが公表したデータは、長期間使い続けることでがん細胞を減らすどころか、むしろ増加させる可能性があると指摘しています。

米国ではWHOの警告があれば、医師はできる限り投薬や治療を控えますが、日本では長期間投与のリスクが取り沙汰されることは少なく、当たり前のように使われているのです」

 

これらはリスクが非常に高い治療だが、もっとひどいケースもある。
海外ではまったく行われていないどころか「犯罪行為」になる治療法を平気でやる医者がいるのだ。

 

日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之氏はその具体的な治療法を挙げる。

免疫細胞療法です。日本では代替療法として人気ですが、米国で治験届けをしていない未承認医療で臨床試験でもない治療をやった場合、訴訟問題になる可能性があります。

米国のがん治療では、FDA(米国食品医薬品局)が承認していない未承認治療を、臨床試験や治験以外で費用を取って施すことは許されていません。
人体実験を受けているようなものです」

米国の治療の「常識」を知ることで、日本で当たり前に受けている治療が実は安全ではないことを理解しておきたい。


「週刊現代」2017年9月2日号より

 


 

いいね!と思ったら↓クリックお願いします