訪問介護向けの訪問スケジュール管理ツールが自動作成に対応できない理由は、機能の問題ではなく設計思想の問題だ。
これらのツールはそもそも「作成すること」ではなく、「管理すること」を目的として設計されている。
この設計思想の違いが、どれだけ機能を追加しても自動作成に対応できない根本的な理由になっている。
市場に出回っている訪問スケジュール管理ツールの設計を整理する。
これらのツールは利用者・介護職員の基本情報を登録し、訪問スケジュールを画面上で確認・管理できる。
変更があれば管理者が手動で修正し、キャンセルが発生すれば管理者が代替要員を手動で探して設定する。
システムの役割は「管理者が決めた配置を記録・表示する」ことであり、「どの介護職員がどの利用者をどの時間帯に訪問すべきかを判断する」ことではない。
管理者がスケジュール表に手で訪問割当を入力し続けるのは、このためだ。
なぜ「管理する」設計では自動作成に対応できないのか。
訪問スケジュールを自動作成するためには、全ての制約条件をシステムが処理できる形で構造化して保持する必要がある。
利用者の受入可能日時・必要資格・担当継続希望・労働基準法に基づく拘束時間上限・勤務間インターバル・介護保険法に基づくサービス提供条件というハード制約。
介護職員の希望勤務・移動負荷の分散・担当エリアの集約というソフト制約。
さらに訪問介護に固有の移動時間・移動手段・訪問エリアという地理的制約も同時に処理する必要がある。
これら全てをシステムが保持し、同時に処理して配置を決定するという設計は、スケジューリング最適化という数理的な問題を解く仕組みを必要とする。
既存の訪問スケジュール管理ツールはこの仕組みを持っていない。
持っていないのは技術力の問題ではなく、そもそも「管理すること」を目的として設計されているからだ。
さらに既存ツールには構造的な問題がある。
判断に必要な条件の多くがシステムに乗っていない。
利用者の個別希望・移動ルートの暗黙的なルール・現場で蓄積された経験則といった条件は、別ファイルで管理されているか管理者の頭の中に依存している。
自動作成に必要な条件が揃っていなければ、自動作成の仕組みがあっても機能しない。
こうした設計思想の根本的な問題に対して、shiftect.は全ての条件をシステムが処理できる形で構造化して保持し、それを自動的に処理して配置を決定することで訪問介護の訪問スケジュール作成を自動化することを目指している。
訪問スケジュール管理ツールが自動作成に対応できない理由は、「管理する」設計から出発している点にある。