shiftect.の制御構造は個別指導塾に限らず、施設介護・訪問介護・物流にも適用できる汎用的な技術だ。
にもかかわらず、最初の実装として個別指導塾を選んだ。
なぜか。

理由は三つある。

一つ目は、当事者として問題を知っていたことだ。
私は2016年から個別指導塾の現場で時間割を手で組み続けた。
生徒50名×講師20名、1000を超える組み合わせを頭の中で処理しながら、毎月時間割作成に向き合い続けた。
振替対応は毎日届き、多い月では60〜80件に上った。
この問題の構造を、データではなく体験として知っていた。
問題を正確に定義できたのは、当事者だったからだ。

二つ目は、問題の構造が明確にできたことだ。
個別指導塾のスケジューリングに登場する業務上の要素は、生徒・講師・教室という形で整理できる。
この整理が明確にできたことで、shiftect.の不変コアとしての制御構造を最も純粋な形で実装できると判断した。
そしてこの構造は、他業種のスケジューリング問題にも共通して適用できる。
個別指導塾での実装を通じて不変コアを確立することが、施設介護・訪問介護・物流への展開の基盤になる。

三つ目は、フランチャイズ本部・チェーン本部への展開可能性だ。
個別指導塾のチェーン・フランチャイズ本部は、入塾・退塾・生徒数・売上といった数値とお金は把握できる。
しかし各教室の運用、つまり時間割がどのように組まれ、どのようなポリシーで配置が決まっているかは、これまで掌握できなかった。
shiftect.を導入することで、各教室の運用が可視化される。
本部が定めるスケジューリングのポリシーを制約として設定すれば、全加盟教室の時間割生成にそのポリシーが反映される。
数値では見えなかった運用レベルが、本部から管理できるようになる。
これはチェーン経営の構造を根本から変える可能性を持っている。

shiftect. for EDUCAは個別指導塾向けの最初の実装だが、shiftect.という技術の射程はそこに限定されない。
最初の業種として個別指導塾を選んだのは、問題を知っていたこと、制御構造を明確に定義できたこと、フランチャイズ本部への展開可能性が最も具体的に見えていたこと、この三つが重なっていたからだ。