新しい技術が理解されにくい理由は、説明が下手だからではない。
理解するための枠組みが、相手の中にまだないからだ。
人は新しいものを理解するとき、既知のカテゴリに当てはめようとする。
これは合理的な認知の働きだ。
既知のカテゴリに当てはまれば、過去の経験と知識をそのまま適用できる。
問題は、既知のカテゴリに当てはまらないものが来たときだ。
当てはまらないのに無理やり当てはめると、本質が消える。
shiftect.の制御構造はこの問題に直面し続けた。
業務の状態に応じて最適化処理への入力構成を自動的に切り替えるという構造は、既存のスケジューリングシステムにも、最適化ツールにも、AIにも当てはまらない。
しかし説明の過程でどこかのカテゴリに引っ張られる。
「スケジューリング」と聞けば既存の管理ツールに、「最適化」と聞けばソルバーに、「自動化」と聞けばAIに。
引っ張られた瞬間に、説明しようとしていた構造の新しさが消える。
構造の新しさとは何か。
従来のスケジューリングシステムは「与えられた問題を解く」ことを前提にしていた。
制約を定義し、最適化エンジンに投げ、解を得る。
問題の構造は人間が定義し、システムはその構造の中で計算する。
shiftect.が変えようとしているのはその前提だ。
業務の状態が変わるたびに、何を探索対象とし、何を前提条件として固定するかという問題の構造自体をシステムが自動的に決定する。
問題を解くのではなく、問題の構造を決めることをシステムが担う。
この一段上の制御が、構造の新しさの核心だ。
新しいがゆえに理解されにくいというのは、言い訳ではない。
枠組みがないところに説明を届けることの難しさを、開発パートナー選定の過程で繰り返し経験した。
同時に、理解の枠組みが合っている相手には最初の接触から伝わるということも確認した。